(3) 医師レベルでの専門医療が、必要とする高齢者に十分に提供されていないこと。
改革の目的のひとつであった資源利用の効率化は、経済危機、コミューンの財政困難と時期が重なったために、結果を分析することがいまひとつ難しいとされる。
ニーズに対応した十分なサービスやケアの供給、サービスの利用のしやすさ、ケアの継続性の確保、専門性の向上など、質・両ともに改善されるべき点はまだ多いが、コミューンとの財政力と深く関わる問題であるだけに、長期的な見通しに立って着実に歩を進めることが必要といえる。むしろ、逆に、保健・医療サービスと社会福祉サ―ビスの統合をさらに強化することが、限られた資源によって高まるニーズに対応する最も有効な方法ではないかというのが、今日のスウェーデンの基本的な考え方である(SOU 1996:163)。
3. 高齢者のための経済的保障
スウェーデンの年金制度は、基礎保障(国民基礎年金・AP)と所得比例保障(国民付加年金・ATP)の二原則のうえに成り立つ(表5)。国民付加年金は、被用者の場合は強制加入であるが、自営業者の場合は任意加入である。これらの年金に加えて、労使協約による協約年金が給付される。