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社会サービスに関しては社会サービス法(1980年)が適用される。保健・医療と福祉に関する一般的な計画と立案に責任をもつのは社会省(Socialdepertementet)であり、その下におかれる中央行政機関としての社会庁(Socialstyrelsen)は、社会省に対してさまざまな政策課題の提案を行なうとともに、全国の地方自治体において医療・福祉行政が法に基づいて遂行されているかどうかを監督する立場にある。その外に、研究・開発や政策の評価を行なっていくのも社会庁の役割である。

社会保障の中心となる社会保険と移転給付(年金、児童手当、傷病手当など)の運営を任務とするのは国であるが、保健・医療サービスや社会サービスは先に述べたように、県コミューンとコミューンの地方自治体の業務である(図12)。県コミューンは保健・医療サービスを主な業務とするが、92年のエーデル改革により、高齢者や機能障害者の長期的医療ニーズに対する保健・医療サービスは、県コミューンからコミューンに移行された。

 

2. エーデル改革(1992)

 

改革の背景:

従来、保健・医療と社会福祉サービスの行政責任が、県コミューンとコミューンに分かれていたため、一般市民や関係者の間から以下のような批判が繰り返し行なわれてきた。

(1) 医療と福祉のニーズがともに高い、高齢者や障害者が行政の狭間に陥ってしまい、総合的で十分なケアやサービスが受けられない。

(2) 行政責任が不明確であるため、ニーズに対応した資源の確保が敏速にできない。

(3) 同様な理由により、資源の有効利用が困難である。

(4) 総合的なケア計画の作成とその合理的な遂行が困難である。

(5) 窓口のたらいまわしや、社会的入院の発生原因となる。

もうひとつの背景となったのは、88年に国会で議決された高齢者福祉行政の基本方針(Regeringens proposition 1987/88:176)で強調された、「安全・安心感」、「人格の尊重」、「選択の自由」という三原則であった。

 

改革の出発点:

 

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