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2.デュッセルドルフ市(ドイツ)

(1)デュッセルドルフ市の概要
 デュッセルドルフ市はノルトラインベストファーレン州に属しており、老人介護相談事務所は州の介護法により1997年10月に開設された事務所である。
 この事務所は市に属しており、市の社会局老人扶助課の事務所であり、主に介護が必要な人の家族が相談を行い、在宅福祉の受け方や食事、介護施設の斡旋等についてすべての介護に関する相談を受ける市の老人介護相談室である。

(2)介護保険制度の概要
 ドイツ国内でも徐々に高齢化が顕著となりはじめ、現在デュッセルドルフ市では人口約58万のうち、60歳以上が14万人で、そのうち25,000人が介護が必要な人々である。ドイツでは在宅介護サービス及び施設介護サービスが利用者とサービス事業者との間の契約に基づいてサービスが提供される仕組みとなっており、その費用は利用者の自己負担が原則である。
 そのような状況の中、要介護者の経済的な負担減を目的に1995年4月から介護保険制度が施行された。まずは在宅介護を必要とする人を対象にした在宅介護法から導入され、1995年中頃より実際に給付が行われるようになった。さらに1996年7月1日から施設介護にも給付されるようになった。 
 介護サービスを行っているのは地方公共団体とは限定されず、その他にも民間の福祉団体、非営利・営利団体など多岐にわたっている。
 給付の内容としては要介護度により給付金が設定されており、要介護度は軽い順に?T度、?U度、?V度、特に厳しいケースと4段階に分かれている。在宅介護給付サービスの種類としてはホームヘルパー、介護手当の給付、代替ホームヘルパーがあり、介護サービスと介護手当を組み合わせることができる。施設介護給付サービスの種類としては、部分施設介護と終日施設介護があり、部分施設介護には、デイケア、ナイトケア、ショートステイがある。また、介護補助品、住居の改造(リフト等(風呂は医療保険から支給))にかかる経費も介護保険より給付される(表-1)。
 施設介護に対する給付対象は、直接介護にかかる費用であり、宿泊費及び食費(施設から提供されるもの、部屋の掃除及びその他のサービス)、投資費用(施設用地及び建設費を1ヵ月あたりに換算したもの)を除いたものである。投資費用も基本的には要介護者が負担しなければならないが、要介護者の収入額がこれに足りない場合には、介護住宅手当を請求できる。
 障害者の介護にかかる費用の一部も介護保険により負担される。ただし、主な負担は障害者とその家族自身及び障害者社会適応扶助給付措置で工面される。障害者社会適応扶助給付を受けながら介護施設のみで介護される場合、介護保険は施設に入所している間に発生する総費用を合算した額の10%(ただし、最高500マルク/月)を負担する。


表-1 在宅介護給付サービスの種類

 

 

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