日本財団 図書館


?V 海外調査レポート

 本調査研究の一環として、ストックホルム市(スウェーデン)、デュッセルドルフ市(ドイツ)、アントワープ市(ベルギー)の3都市の福祉に関する調査を行った。

1.ストックホルム市(スウェーデン)

(1)ストックホルム市行政の概要
 ストックホルム市は、人口70万を超すスウェーデン最大の都市であり、市行政機構は最高決定機関の市議会を中心に常任委員会、コミッショナー会議、関係行政局、関係行政部で構成されている。
 市議会では、常任委員会や関係行政局で検討された議案を審議し、議決されたものは市の行政関係職員により執行されている。
 市の統括的な運営は市行政管理局が行っているが、基本的にはストックホルム市内で分かれている24の区役所で市行政の大部分を運営している。ただし、市全体にかかわる行政分野の中で24区役所に行政責任を分散させるのが不適切な行政分野については、市の行政専門局(都市計画局、道路・建築局等)が運営を行い、各行政局には市職員が日常の仕事に携わる局直属の行政部がある。

(2)24区役所の役割
 24区役所が大部分の行政を運営するようになったのは1997年1月1日からで、区役所制度の目的として公共事業サービスの改善及び効率の向上にある。そのため、24区にはすべて区民相談室が設置されており、市の公共サービスに関するあらゆる質問を受けている。
 区民相談所では、老人福祉、文化活動、失業者対策や障害者対策など28種(表一1)の相談を受付けており、731,174件の質問に対し、回答してきた。大部分はその場で回答し、複雑な質問に対しては、調べて後日回答している。現在、インターネットの普及により、この区民相談所にも無料でインターネットを活用できる端末があり、また住民が家庭でインターネットを活用し、例えば学童福祉等の申請書を市のホームページからプリントアウトし、署名して郵送することもできる。ただし、この相談所はあくまでも相談所であり、数種の申請、予約(集会所の予約等)はできるものの、すべてがここで完結するわけではないので、今後はこの相談所でもすべての手続を行えるようにしていくことが課題である。

表−1 区役所が取り扱う公共サービス (五十音順)
(1)アジェンダ21、地区環境問題 (2)一般集会所 (3)学校生徒問題対策 (4)学校保健衛生 (5)建築許可(一部区役所で試験的に実施)  (6)公園及び公園歩道の管理 (7)公園での娯楽活動 (8)個人及び家族福祉 (9)児童福祉 (10)小中学校、養護教育、母国語教育  (11)消費者相談 (12)親族法問題 (13)身体障害者福祉 (14)青少年のための夏休み活動 (15)精神衛生相談 (16)地区企業経済問題  (17)地区の特徴を生かした活動グループヘの資金援助 (18)町内活動 (19)道路及び広場(管理及び維持) (20)冬期道路管理  (21)図書館 (22)広場での露店商業活動 (23)文化活動 (24)日曜菜園地帯 (25)レジャーハウス及び青少年のためのレジャー活動  (26)老人福祉( 27)労働者市場問題等失業者対策や障害者対策 (28)6歳児教育

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION