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 以上のようなことから、WINは一定の成果を挙げたものの、現状の技術を用いたキオスク端末ではコストに見合うものではなかったこと、さらに4年間におよぶWINの実験中にも情報技術の進歩や住民への情報技術の浸透が顕著であったことなど、WINの成果を継承し、先端情報技術を取り込んだ新たなプロジェクトの立ち上げが必要となってきた。
 そのため、1998年から新たに「A?tess Washington」というプロジェクトを立ち上げている。
 A?tess Washingtonは、WINの実験結果やインターネットなどの最新の情報技術を活用した、新たな情報提供ネットワークシステムである。A?tess Washington Projectの企画は1997年12月に打ち出され、1998年11月に正式に発表されている。
 WINのキオスクネットワークを設置した後、Webの技術が一般大衆に情報を伝達するという点で遥かに現実的なものになった。最近の調査では、アメリカ人の34%がインターネットにアクセス可能となっており、この数字は増大している。

 Webを基本にしたシステムを使用する有利な点は以下のとおりである。 
・オペレーティングコストの削減
・ネットワークを運営維持するコストの安さ
・ワシントン州だけでなく、全世界から容易にアクセスできる
・キオスクの設置場所の選定などに苦労するという問題がない

 一方、Webを基本にした環境の問題点としては、ユーザーがデータにアクセスする手段をコントロールできないことがある。ユーザー端末では様々なWebブラウザが様々な環境で動いているため多種多様なトラブルが予想される。

 また、インターネット上のデータはそのセキュリティに注意する必要がある。A?tess Washingtonの取り扱うデータの90%はファイアウォールの外で一般に公開されているものであるが、残りの10%は個人情報へのアクセスや事業税の支払など機密性の高いものであり、これらは暗号化とファイアウォールで守られている。暗号化のソフトウエアは一般に利用されている標準のものを使用している。

 

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