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 また、ヒューマン・インタフェースの飛躍的な改善も期待される。現在のコンピュータはキーボード操作やタッチパネル操作など、操作性の改善は進んでいるが、基本的には細かい指示を順を追ってコンピュータに与えなければ結果が得られない。しかし、エージェントはそれ自体が知的な自律性を持つため、初めに大まかな指示を与えれば自分で判断して結果を求めてくる。エージェントによってコンピュータは飛躍的に使いやすくなる可能性がある。
 現在、エージェントによる情報検索が行われているのは、ほとんどがインターネット上でのホームページ検索である。今後、この技術を、例えば全国のデータベースを巡回して、曖昧な検索条件の下でも、ユーザーが必要とする情報を収集することに応用することが可能であり、ケアマネジャーがケアプランを作成する際に、サービス提供事業者が保有する施設情報等を検索して、サービス利用者にとって適切な事業者を抽出することにも利用することができる。
 一方で悪意を持ったユーザーが、犯罪を意図してエージェントにネットワークを自在に駆け巡らせ、不正にデータアクセスを行ったり、データの改ざんを行う可能性もあるため、実用化にはセキュリティが最大の問題点になる。

エ)その他分野への応用
 データベースを検索するだけでなく、ネットワークの保守にエージェントを使おうという動きもある。ネットワーク内に配置されたエージェントがネットワークの中を動き回り、エージェントがネットワークの故障を見回り、故障を報告させることによって、複雑化するネットワークの運用を容易にすることをねらっている。
 エージェントは、コンピュータの操作性改善からネットワークの管理・利用まで含めて今後の情報化社会において幅広い分野での応用が期待される。

 

 

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