日本財団 図書館


?@性能向上
 大容量のデータベースシステムを高速に処理させるためには、データベースシステムを稼働させるハードウェアが優れた処理能力をもっていることが必要である。ハードウェアの性能を決定する要因として、コンピュータのプロセッサの処理能力が挙げられる。
 UNIXサーバーやPCサーバーに搭載されるプロセッサそのものの能力向上もさることながら、現在のUNIXサーバーやPCサーバーは、1台につき複数個(PCサーバーでは数個まで、UNIXサーバーでは数十個まで)のプロセッサを搭載し(これを「マルチプロセッサ」と呼ぶ)、並列的に制御することで負荷分散を行い、データベースシステムの性能向上が実現されている。 特に搭載するプロセッサの数が数百〜数千に及ぶものは、「超並列コンピュータ」と呼ばれ、大容量のデータベースで、高度なデータ分析を行うデータウエアハウスなどに用いられている。また、ネットワーク内の複数台のコンピュータを用いて一つのプログラム(データベース処理など)を分散処理することにより、処理の高速化や信頼性の向上を実現する、「クラスタリング」が注目されている。
 一方、ハードウェアの高性能化に呼応して、その性能を十分に発揮し、高速な蓄積や検索を実現するためのデータベースソフトウェア技術の向上も図られている。
 例えば、大量データの一括蓄積・検索は、一般的にプロセッサに重い負荷をかけ、時間のかかる処理である。このデータベース処理をマルチプロセッサ構成にする方法は、性能向上に向けたハードウェア的な解決策の一つとして挙げられる。
 一般に負荷分散の制御はソフトウェアで行われるため、ソフトウェアの性能によって、飛躍的にデータベースシステムの性能が向上した場合でも、プロセッサを増設したほどの効果が出ない場合もある。 そのため、負荷分散の制御に極力負荷をかけることなく、各プロセッサへ均等に負荷を配分し、プロセッサの数に比例した性能向上を実現するべく、データベースソフトウェアの開発が行われている。

?A信頼性向上
 基幹業務系システムを稼働させるコンピュータは、「システムを構成する個々のパーツが故障しにくい」、「一部のパーツが故障してもシステム全体を停止させない」、「万一の故障時にも復旧までの時間が短い」といった信頼性が必須である。
 データベースシステムにおいても、扱うデータが重要であればあるほど、また大容量になればなるほど、システムダウン時の影響が大きくなるため、信頼性に対する要求は厳しい。そのため、従来のPCサーバーは、信頼性向上のための技術が未完成なことから、基幹業務系システムからは敬遠される傾向にあった。
 しかし最近、PCサーバーであっても、システムの多重化技術やディスクを多重化し、壊れたディスクを電源オンの状態で交換することができるRAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)技術、オンライン業務稼働中でのバックアップ処理、並列的なデータロードによる作業時間の短縮、モニタリングによる障害の検知と自動切り替えなどの仕組みを実装し、365日 24時間運用も可能な、高信頼性を実現するレベルに達しつつある。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION