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第4章 福祉情報化を進める上での留意点
 これまでの各章では、高齢者介護を中心とした在宅福祉、特に「在宅介護サービス」の提供を支援する情報システムについて、その前提となる社会の仕組みの変化を踏まえながら、主として“社会システム”という視点で、その目的、意義、もつべき機能内容、システムのイメージ、運用上の課題等を整理してきた。
 では、このシステムは誰が中心になって構築・運営していくべきなのか、地方公共団体としてはシステムの構築、運営にどうかかわっていくべきなのか、また、あるべき姿として整理しているこのシステムを実現する上で解決すべき課題としてはどんなことが想定されるのか、本章では、こういった福祉行政の情報化を進めていく上で、特に留意すべき点について、第1章でも述べているがもう一度最後に整理しておく。

 情報システムの在り方を整理する中では明確にはされていないが、市場原理の導入、自己責任原則の拡大という良い意味での市民中心の社会の到来が予測され、地方公共団体の役割が大きく変化することが予想されるという点は、すでに第1章で述べたとおりである。
 なかでも、少子化、高齢化の急速な進展による社会・経済構造改革を通じて、量的拡大よりも質的充実に重きが置かれることになると予想される社会において、地方公共団体には市民生活のあらゆる局面において、いわゆる「自助」、「共助」、「公助」の適切な組み合わせを実現し、高齢者にとって、また、家族にとって豊かな生活の営みが持続されるような仕組みを実現する役割が求められよう。

 そこで、地方公共団体が「在宅介護サービス」を支援する情報システムを実現する上で想定される留意点を「システム」そのものではなく、その前提となる、
?@成熟化しつつある市民意識への対応
?Aサービス提供事業者とのネットワーキングの在り方
 の視点から指摘することとする。

 

 

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