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2-1 新たな福祉行政を実現するための対応事項

 福祉行政を取り巻く環境の変化に伴い、地方公共団体は、福祉サービスを利用する「利用者本位の立場に立った福祉サービスの提供」と「福祉事業を広域で実施していくための各種施策」の検討が必要となってきている。
 そのため、このような環境の変化を踏まえた、福祉行政を実現するための社会的基盤を構築し、地域住民とともに地域福祉を支えていくことが求められる。
 情報システムも、このような福祉行政を支援する基盤として位置付けられる。
(1)今後の福祉行政を進めていく上での基本的な方向性
 中央社会福祉審議会の社会福祉構造改革分科会が平成10年6月17日に答申した『社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)』では、国及び地方公共団体が今後の福祉行政を推進していく上で、次のような基本的方向に沿った改革を行うことを提言している。

・サービスの利用者と提供者の対等な関係の確立
・個人の多様な需要への地域での総合的な支援
・幅広い需要に応えられる多様な主体の参入促進
・信頼と納得が得られるサービスの質と効率性の向上
・情報公開等による事業運営の透明性の確保
・増大する費用の公平かつ公正な負担
・住民の積極的な参加による福祉の文化の創造

 具体的には、個人が尊厳を持ってその人らしい生活を送れるよう支援するという社会福祉の理念に対応し、サービスの利用者と提供者との間に対等な関係を確立する必要がある。また、利用者本位の考え方に立って、利用者を一人の人間としてとらえ、その人の需要を総合的かつ継続的に把握し、その上で必要となる保健・医療・福祉の総合的なサービスを、教育、就労、住宅、交通等の生活関連分野とも連携を図りつつ、効率的に提供できるケアマネジメント体制を住民の最も身近な地域に構築することが求められる。さらに住民の幅広い需要に応えるためには様々なサービスが必要であることから、地方公共団体はそれぞれの主体の性格、役割等に配慮しつつ、多様なサービス提供主体の参入を促進するために、各種情報の収集と分析、公開等についても取り組まなくてはならない。
 サービスの提供主体が多様化することは、サービスの内容や費用負担についても、住民の信頼と納得が得られるよう、社会福祉従事者の専門性の向上やサービスに関する情報の公開等を進めるとともに、利用者の選択を通じた適正な競争を促進するなど、市場原理を活用することでサービスの質と効率性の向上を促す役割が求められる。

 

 

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