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1-1 福祉業務のシステム化の状況

 地方公共団体の厳しい財政状況等から、業務のシステム化に向けた取組状況は地方公共団体によって大きく異なっている。
 特に、法制度の改定や地方分権化等に伴う福祉行政の権限委任などに対応したシステムの改定作業は、費用や要員確保の面などから情報システム部門にとって大きな負担になっている。
 また、地方公共団体の本庁や支所、業務を委託している関係機関とのネットワーク化は、地方公共団体の個人情報保護条例等の制定内容によって、接続先の対象や情報の共有化項目に制限がある。
(1)システム化の状況
 地方公共団体の人口や財政規模の違いから、福祉業務のシステム化の推進状況は異なっている。事務処理については、ほとんどの地方公共団体で何らかのシステム化が行われているが、システムの形態としては、バッチ方式が多い。
 福祉業務のシステム化への取り組み状況は、大きく4つに分類できる。
?@部分的な業務のみ、システム化が行われている。
?A事務処理を中心に、福祉制度ごとのシステム化が行われている。制度ごとの縦割りシステムであり、福祉部門間でのデータの共有化は実現できていない。
?B福祉業務を総合的に統合した情報システムが構築され、福祉関係部門間でのデータの共有化が実現されている。
?C保健システムと福祉システムが連携した、トータルシステムが構築されている。

(2)福祉総合情報システム化への取り組み状況
 ゴールドプラン以降、多くの地方公共団体で、将来の福祉施策を支援する保健福祉システム(又は福祉総合情報システム)の構想を策定している。その実現状況は、構想を策定した時期や既存の福祉システムの整備状況によって異なっている。
・福祉総合情報システムの構想を早い段階(老人保健福祉計画策定と同時期)で策定した地方公共団体では、段階的にシステム化が進められている。
・逆に計画を策定した時期が遅かった地方公共団体では、介護保険制度の審議が進められていたこともあり、介護保険制度の導入時期やその内容を踏まえて、地方公共団体でのシステム構築の緊急度等により対応状況が大きく異なっている。
・また、福祉総合情報システム構想策定後の法制度の改定や権限委任等に対するシステム化の見直しなども大きな負荷となっている。

 福祉総合情報システム構築への取り組み状況として4つに分類できる。
?@既存の福祉システムで当面の対応が可能であり、介護保険制度の状況を確認してから福祉総合情報システムの構築を行うケース。
?A既存の福祉システムの見直し時期に来ており、現行の福祉制度の範疇で地方公共団体として対応すべき福祉システムの再構築を進めたケース。
?B現場(保健婦等)の作業の効率化を優先し、福祉サービスの向上を図るために必要となるシステムの構築を進めたケース。
?C介護保険制度の導入を考慮したシステムを構築したケース。在宅介護支援など、地方公共団体として果たすべき役割を想定したシステム化を実現している。

(3)ネットワーク化の状況
 福祉事務処理のシステム化が行われている地方公共団体でのネットワーク化は、システムの規模やサービスの提供内容によって異なっている。
 福祉情報の一元管理を行っている団体では、本庁や福祉事務所、保健所等、出先機関をはじめ、在宅介護支援センターまでネットワーク接続しているケースがある。
 ネットワーク化の状況は、大きく3つに分類できる。
?@ネットワークは整備されておらず、関係部門間でのデータ授受は、紙ベースかフロッピー等の磁気媒体で実施している。
?A本庁と支所や福祉事務所等の出先機関との間で、ネットワークが整備されている。
?B在宅介護支援センター等、地方公共団体からの委託事務を行っている機関とのネットワークが整備されている。

 

 

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