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?Aシステムは福祉サービスの絶対的供給不足を補うのに貢献しているか?
 ややうがった表現かもしれない。地方公共団体により福祉サービス資源の質と量に大きな格差があるのは一般の知るところである。そこでもう少し正確に表現するならば、豊富・充分にある地方公共団体においてはシステムの運用・活用により無駄のない供給、しかも一層のサービス向上に役立っているか。また逆に、サービスの絶対的不足に悩む地方公共団体においては、システムの運用によりそのような不利を補うことが可能となっているか。システムが稼働していることによって「ヒト・モノ」が活かされているかという視点である。

?Bシステムは福祉サービスの経費節減に貢献しているか?
 一つには前項?Aを財政・経済的側面から評価するという意味がある。もう一つは、システム自身の費用対効果を評価するという意味がある。

?Cシステムは住民から個人情報の提供を受けているか?
 地域福祉行政にとってプライバシー保護と個人情報利用については今後ますます重要な課題となるので次頁以降で改めて取り上げる。ここで評価点検を行うことのポイントは、個別福祉プログラムの作成と実行に必要な個人情報が住民から充分に提供されるシステムとして運用されているかという点である。これはシステムと情報システム部門、ひいては行政と住民の信頼関係が得られているかという判断基準の一つにもなる。

?Dシステムは住民と首長の意思決定に貢献しているか?
 地方公共団体の情報公開とそのレベルの高低を判断する基準でもある。「地域福祉行政支援情報システム」といえば「地域福祉行政(地方公共団体)を支援する情報システム」と捉らえるのが一般的であるが、「地域福祉行政(地方公共団体)が<住民と首長を>支援する情報システム」としての評価である。措置や介護保険など、福祉行政の実施主体が地方公共団体に任されたことをなお一層重く見る必要がある。それは行政側(地方公共団体)が一方的に福祉(だけではないが)プログラムを策定・実施するということではなく、住民参加・住民主導で福祉が行われなければならない。民主主義と地方分権の意味はそこにある。市民意識・市民社会がしだいに成熟しつつある我が国において、住民と首長側の必要かつ充分な福祉行政情報への要求は今後もますます高まるはずである。それがシステムの目的の一つとなっているか、そのように活用されているかがチェックポイントの一つである。

 

 

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