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第3節 研究の概要
3-1福祉分野を取り巻く環境の変化(第1章)
(1)福祉行政を取り巻く環境の変化(第1章第1節)
 在宅福祉サービスを支援する情報システムを考察するため、まず、福祉分野の情報化を考える上で前提となる21世紀の社会福祉の姿を諸制度の変遷や社会構造の変化を基に仮説として描き出している。

 21世紀に向けて福祉分野においては、人口構造の変化に伴う少子・高齢化社会に対応すべく、様々な制度改革が行われている。そのベースとなっている考え方は社会構造の変化の方向を踏まえ、
?@市町村を基礎的単位とした在宅福祉中心の地域福祉の推進
?A社会福祉法人、民間事業者を含めた福祉サービス提供主体の多元化
?B市場原理の導入と自己責任原則の拡大
 であるといえる。多元的組織による広域的な観点からのサービス提供、すなわち、「地域福祉の展開」を図るための地域ケア体制の構築が必要である。
 そして、福祉分野を担うべき主体の今後の役割は、
・国は社会的弱者を救済するセーフティーネットを用意する。
・市町村は福祉サービスの適切な提供確保に向け、管理監督を担う。
・福祉サービス提供者は、サービス提供にかかわる情報公開に努める。
・サービス利用者は自己責任原則に基づきサービスを選択する。ということが出来る。

 このような福祉分野の潮流にあって、在宅福祉サービスの位置付けは、医療・保健サービスまで含めた範囲でサービスを提供する形に変化する。本調査研究では、このような範囲のサービスを図1に示すように在宅介護サービス(在宅ケア)としてとらえている。

図1 在宅福祉サービスと在宅介護サービス

 

 

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