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(6) アウトソーシングの契約

 アウトソーシングのコストに関する契約形態は一般的に定額契約と従量契約がある。定額契約は毎年固定した金額をベンダーに支払うもので、保守等の作業量が不確定な業務に適用される。従量契約は作業量に応じてベンダーへの支払い金額が変動するもので、バッチ処理等の作業量の算定が容易な業務に適用される。地方公共団体では、アウトソーシングする業務内容に応じて定額契約か従量契約か選択する必要があり、業務内容が幅広い場合は、業務特性に応じて細分化し、定額契約と従量契約を組み合わせることが望ましい。北海道や国分では、汎用機の利用割合に応じた従量契約にすることで、コスト削減に結びつけている。
 契約期間に関しては、我が国の地方公共団体は単年度決算であることから単年度契約が基本となる。しかし、実際は随意契約の更新という形で長期的な契約を実現することが可能でありベンダーとの信頼関係形成やコスト削減等の視点から、ある程度長期的視野に立った契約を検討することが望ましい。
 また、アウトソーシングの問題点として納期の遅れやコストアップが挙げられていることから、サービス・レベルやコストに関しては定量的な指標等を用いて明確かつ詳細な契約を結ぶことが必要である。詳細な契約を結ぶことで、追加費用の請求を防止したり、サービス・レベルに対する補償を求めることが可能である。サービス・レベルとしては、コンピュータの処理能力やレスポンス・タイム、バッチ処理の能力、トラブルの頻度や復旧時間等がある。地方公共団体では、多くの個人情報を扱っていることから個人情報保護に関する内容を契約に含めることも不可欠である。
 このほか、契約期間終了後、再びインソーシングする場合はベンダーから協力が得られることや、ベンダーが倒産等によりサービスが提供できなくなった時の補填措置等に関しても契約項目に盛り込むことが望まれる。

 

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