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(3) 外注的(請負的)アウトソーシングから戦略的アウトソーシングへ

 本調査では明確な区別が困難であることから、表4-2に示したように外注(代行)を含む形で調査を行った。現在、地方公共団体における情報システムのアウトソーシングに関わる取り組みは、ほとんどが外注(代行)、もしくは外注と区別が困難な外注的(請負的)アウトソーシングである。つまり、地方公共団体内部における業務処理を行う上で情報システムの活用が必要になったことから、ベンダーに情報システムに関する業務を外注しているのである。この場合、機能が汎用的であるため情報システムに多様性がなく、一般的ベンダーはコストを主な基準として選定される。
 従来、企業においてもこのような外注的アウトソーシングが主流であったが、昨今、新規事業の進出、事業拡大、経営資源の再配置、コスト削減等の明確な目的を持って行う戦略的アウトソーシングが注目を集めている。戦略的アウトソーシングでは、明確な目的を持って行われることから、情報システムによる業務処理の効率化という限られた範囲における効果だけでなく、組織全体に関わる大きな効果の創出が期待できる。地方公共団体においても、行政改革や広域連携等の大きなパラダイムヘの対応、昨今発展が目覚ましい情報通信技術を基にした新たなアプリケーション開発等、情報システムのアウトソーシングの目的は多様化していくと予想され、今後、戦略的アウトソーシングヘのシフトが進むであろう。

表 4−11 外注的(請負的)アウトソーシングと戦略的アウトソーシング

  外注的アウトソーシング 戦略的アウトソーシング
目的・理由
業務処理における情報システムの活用
組織内だけで対応が困難
   
   
新たなサービスの提供
新たな技術の活用
行政改革
人的資源の再配置
コスト削減
費用対効果 算出可能  算出困難
ベンダーの選定基準 コストや技術力 目的に対する期待効果
推進方法 ベンダー主導 地方公共団体主導、もしくは共同推進

 

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