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3−2 地方公共団体におけるアウトソーシングの今後の方向性

 一概には言えないもののアウトソーシングには有効性がうかがえ、地方公共団体においてもその可能性を検討することが望まれる。以下に事例や文献を基に地方公共団体における情報システムのアウトソーシングの今後の方向性を示す。

(1) 本業(コア・コンピタンス)の捉え方

昨今におけるアウトソーシングに関する意識の高まりは、本業(コア・コンピタンス)の議論と密接に結びついている。「コア・コンピタンス」とは文字どおり、「中核をなす能力」であり、事業を多角化しすぎた企業の本業回帰志向から近年注目を集めている言葉であり、コア・コンピタンス以外はアウトソーシングの可能性があると言える。地方公共団体においても情報システムのアウトソーシングを検討する上で、コア・コンピタンスが何であるかを明確にすることが非常に重要である。
 コア・コンピタンスは企業においては「顧客に対して、他社のまねできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」(Hamel&Pr-ahalad,1994年)とされているが、地方公共団体においては「公共福祉的な観点から民間企業ではなく地方公共団体が行うべき業務」と捉えることができる。
 一般的に情報システムに関わる業務は、業務自体を捉えると地方公共団体のコア・コンピタンスだとは言い難い。しかし、昨今の高度情報化の進展に伴い、地方公共団体における情報化のニーズは高まっていることから、地域における情報化施策(含む情報システム)を企画する能力は地方公共団体においてコア・コンピタンスとなっていると考えられる。一方、企画に基づく、情報システムの設計、構築、運用管理等の業務は、必ずしも地方公共団体が行う必要はなく、コア・コンピタンスとは言い難い。つまり、アウトソーシングの対象となり得る。
 実際には、設計、構築、運用管理のすべてアウトソーシングした場合、コア・コンピタンスである企画の能力低下が見られたり、コア・コンピタンスとなる業務に支障が出ることから、構築、運用管理等の業務を内部化している地方公共団体も少なくない。また、一方でコンサルタント等を活用して企画の能力を補完している地方公共団体もある。
 アウトソーシングに取り組むに当たって、地方公共団体では、まず、情報システムに関わる業務においてコア・コンピタンスがどの部分にあるのか再考することが望まれる。この場合、社会的な潮流や、組織の現状等を十分考慮する必要がある。

 

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