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第3節 アウトソーシングの有効性

 文献調査や先進的な活用事例等を踏まえ、地方公共団体の情報システムの運用管理におけるアウトソーシングの有効性や、その活用方法等に関して以下に示す。

3−1 アウトソーシングの有効性

 事例調査を行った北海道や国分ではコスト削減効果だけでなく、それ以外の効果も見られ、アウトソーシングが有効に機能していると言えよう。
 しかし、アウトソーシングが必ずしもコスト削減に寄与するとは限らない。経済性評価を行った地方公共団体Bでは従来外部にアウトソーシングしていた業務処理を、コンピュータ導入により内部化(インソーシング)することで逆にコスト削減を図っている。
 また、経済性評価において地方公共団体Cの外部委託費は同様の条件の地方公共団体Bと比較して大きくなっている。このようにコスト等に関して比較指標が整備されていないことがアウトソーシングの大きな問題であり、アウトソーシングを行う場合にどの程度のコストが妥当であるかという判断を困難にしている。
 したがって、アウトソーシングを行うことが一概に地方公共団体の情報システムの運用管理の効率化に有効であるとは言えないが、明確な目的を有する場合、アウトソーシングの効果は大きい。目的としては、情報システムの運用管理の効率化に限定せず、組織全体に関わること等も想定され、目的が明確であるならば目に見えるコストが増加してもアウトソーシングを行うことが望ましい場合もある。北海道の事例では、計上可能なコストだけを見るとコストが増加しているが、目的としていた「機構改革のための本庁内スペース確保」は達成され、行政改革等にも寄与している。

 

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