日本財団 図書館


(3) アウトソーシングの経緯

 国分では汎用機の活用等、情報化への取り組みを早くから行ってきたが、情報システムの抜本的な改革は昨今まで行われていなかった。一方、中規模の卸売業が合併する等、卸売業の統廃合が進んでおり、流通業界では競争が激しくなり、このような統廃合した卸売業者では、新たな情報システムの構築も進められている。情報システムの役割が従来の業務処理から、コミュニケーションツールに変化してきたことから、流通業界でも物流システムと情報システムの一体化が進み、このような最新情報通信技術の活用が他社との競争において不可欠になっている。
 このような環境変化に伴い、国分では昨年度、『情報システム高度化5ヵ年計画』を作成し、10のプロジェクトからなる情報システムインフラの再構築を進めている。アウトソーシングはプロジェクトの一つである。5ヵ年計画では1年半でインフラ改革を実施するというスピードを重視しており、そういうスピードある改革を実現する意味からもアウトソーシングの活用は不可欠であった。
 また、アウトソーシングの理由の一つに、国分のコア・コンピタンスが卸売業で情報システムでないことから、情報システム部門の職員の適正なローテーションが必要であり、そのため人的な労力面で余裕の創出が必要であった。このほか、汎用機の更新時期が近付いていたこともアウトソーシングを検討した理由の一つとして挙げている。

(4) アウトソーシングの目的

 アウトソーシングに期待する効果として、「災害対策」、「2000年対応」、「職員の戦略的再配置」の三つを大きく挙げている。
 汎用機による情報システムは国分において重要な経営資源であり、その災害対策は不可欠である。情報システム部門があるオフィスはインフラが不十分であり、災害対策の観点からセキュリティの高いベンダーのセンターに汎用機を移設することが望まれた。また、汎用機において稼働している基幹システムでは2000年問題への対応が大きな課題であったが、現行のシステムを停止することなく対応を図ることが必要であった。この他、前述したように情報システム部門職員の適切なローテーションを行うことも急務となっていた。
 アウトソーシングの目的として一般的に取り上げられるコスト削減に関しては、国分においては当初大きな目的となっていなかった。これは情報システム部門のモラル維持の面で重要な役割を果たした。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION