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(5) アウトソーシングの契約

 契約は、業務の継続性を確保する必要があったこと、これまでに担当したノウハウの蓄積があったことなどから随意契約としており、業務処理汎用機と財務LANのホストコンピュータは、それぞれ異なるベンダーになっている。
 業務処理用汎用機は、稼働率により使用料を積算し、今後、ダウンサイジングなどにより業務が汎用機を離れる場合は、その業務の機器使用時間見合分、機器使用料はさらに減額され、ダウンサイジングなどへの経費に振り向けることになっており、北海道が汎用機を利用していない時間、ベンダーは他の企業等へのサービスに汎用機を利用できることになっている。現在のところ北海道が利用している時間は積算上、全体の7割程度となっている。
 契約においてセキュリティに関する事項は設けているが、罰則規定は特に設けておらず、トラブルがあった場合は裁判で処理することになる。

(6) アウトソーシングの効果と問題点

 北海道の場合、コスト的な削減効果も見られるが金額で推し量れない効果の部分が大きい。 これまで汎用機を設置していた本庁舎5階のマシン室、帳票保管室、作業室等を事務室として活用することによって本庁舎内全体の部課の再配置が容易となり、平成9年度の大幅な機構改革に対応することができた。
 また、本庁舎は1968年に竣工した建物であるが、耐震設計、セキュリティ管理された建物を保有するベンダーに汎用機やデータが、設置、保管されることにより機密性、保全性、可用性といった災害リスクが軽減される。
 問題点としては、処理する機械が庁舎にない以上、避けられないことと考えるが、処理の即時性の問題が挙げられる。そのほかは、現状において特に問題は見られない。今後の問題としては専門職員の空洞化の問題が挙げられる。北海道の場合は従前から専門職でなく一般事務職をシステム担当係に配置しているが、汎用機処理業務をアウトソーシングによりベンダーに委ねることによって職員の専門性が一段と薄れ、その結果、適正な発注・検査ができるかとの懸念が生ずることから、職員の情報システムに関するある程度専門的な知識の習得、維持を図ることが大きな課題となっている。

 

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