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(7) アウトソーシングのコスト

 初期投資となる移行に伴う一時的経費として、施行期間中のベンダー側のマシン使用料、動力費・保管室料、オペレータ経費及びプログラム修正等、ベンダーに対する委託経費、約1億1,000万円と、本庁舎に設置の旧マシン撤去、屋内配線工事、LAN延長工事等直接経費、約2,000万円の計1億3,000万円ほどを要している。
 経常経費としてのコスト比較では、業務処理用汎用機使用料を稼働率により積算しているため、以前より5,000万円/年程度の経費減となり、また、入退室管理等のセキュリティ装置の費用として300万円/年程度削減されているが、一方で、回線使用料2,100万円/年、マシン室・保管庫等室料2,600万円/年、情報企画課職員業務見合SE2名相当分1,700万円/年程度の計6,400万円が新たに必要となったことから、アウトソーシングによりコストが若干増加したように見える。
 しかしながら、本庁舎内に約500?uのスペースが創出されており、庁舎の分散を妨げたばかりでなく、本庁舎のある札幌市中央区の平均オフィス賃貸料を12,000円/坪・月とすると、オフィススペース確保の効果は約2,200万円/年と試算され、実質的にはコスト削減になっていると考えられる。
 また、情報企画課職員業務をベンダーのSE2名相当に委ねることにより、内部の人材は他の業務に振り向けられており、間接的ではあるが職員人件費の削減効果があったものと考えられる。

(8) アウトソーシング導入のポイント

 北海道におけるアウトソーシングは、既存の情報システムを変更することなく移行したので問題はほとんど発生していない。また、庁舎に設置の汎用機とベンダー設置の汎用機を並行してテスト、運用することができ、ユーザー側の環境に支障を来すことなくスムーズな移行が行われている。
 アウトソーシングにおいて重要なのは、システムの発展方向や運用管理状況に関して明確なイメージを持つことであると考えており、北海道ではあらかじめ表に示すような基本的な考え方、作業イメージを作成し、今回のアウトソーシングにあたっている。

表4-8アウトソーシングに関する基本的な考え方、作業イメージ

基本的な考え方
  事業主管課の混乱を最小限とするため、業務処理の流れ手続きを原変えない。
  国のセキュリティ対策基準に合致している業者を選定する。
  申請書類、成果品の受け渡し、確認にあたっては、データの漏洩等の問題が生じないようにセキュリティ対策を講じる。
作業イメージ
  バッチ処理についてはメール便を運行し、成果品等の受け渡しを行う。
  受け渡しにあたっては、情報企画課内に受付担当員を配置し、受け渡し品の確認等を行う。
  メール便は1日4回とするが、大量に出力される業務については臨時便を運行させる。
  オンライン処理については、受託業者と道庁の間に高速の専用回線を敷設し、既存のネットワークと接続することにより、現行どおりの操作環境を維持する。

 

 

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