日本財団 図書館


(2) NC

 NCではアプリケーションの開発が十分に進んでいないことに留意する必要がある。現在、普及が進んでいるWindowsアプリケーションをそのまま活用できる他のシン・クライアントと異なり、NCではWindowsアプリケーションの活用が困難である。NCは基本的にJavaアプリケーションのみに対応しており、もし、Windowsアプリケーションを稼働させる場合は、NCのサーバ以外に別途Windowsアプリケーション処理用のサーバを稼働し、これをJavaプログラムで受け取るミドルウェアが必要である。NCのアプリケーションはインターネットで標準となっているHTMLやJavaといった言語で開発される。
 また、NCでは立ち上げ時にOSやアプリケーションをサーバからダウンロードするので、一度に立ち上げるとネットワーク負荷が大きいことに留意する必要がある。表3-9に示すのは、NCIが公開しているNCの立ち上げに要する時間のデータであり、スイッチング・ハブを用いれば、64台でも43秒で同時に立ち上げられるとされている。
(富士電機によると実際にはメモリチェック等の自己診断に要する時間が更に約20秒必要とのこと)

表3−9 NCの接続台数と起動時間

(3) Windows-based Terminal

 WBTは豊富なWindowsアプリケーションの活用が可能であるが、アプリケーションの処理をサーバ側で行うため、高機能なサーバが必要である。また、サーバで処理した内容を端末に転送するため常時ネットワークに負荷がかかり、動画や頻繁に画面の切り替わるアプリケーションには不向きであることにも留意する必要がある。マイクロソフトでは、表3-12に示すようにWTSの機能と接続可能な端末(WBT)台数の目安を公開しており、これによると高機能なサーバにおいても接続できる台数は一般ユーザーで最高でも55台となっている。
 また、トステムの例でも見られるように、WTS、WBTによりアプリケーションを集中化した場合でも、アプリケーションのライセンス・コストは削減されない場合もある。現在、端末で利用している、もしくは将来利用を考えているアプリケーションのコストが、同時利用者数、利用の可能性のある端末数、どちらに応じて発生するか確認した上で導入を検討することが望ましい。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION