(3) 評価手法の検討
経済性評価を行う対象に関しては、庁内にあるすべての情報システムを対象とする場合と、特定の情報システムを対象とする場合がある。地方公共団体内で完結する単独評価や時系列的な比較評価ではすべての情報システムを対象にした調査も有効であるが、複数事例により比較評価する場合は特定の情報システムに限定することが望ましい。地方公共団体においては業務ごとに多数の情報システムが稼働しており、その整備状況も各地方公共団体で異なるためである。
評価の具体的な内容としては、評価項目や評価に必要な抽出すべき情報等を十分に検討し、ヒアリング調査項目やアンケート調査項目を作成する必要がある。調査項目の作成に当たっては、本調査で行ったようにモデルによる試算を行うことで、評価に必要な情報の抜け落ち等を防ぐことができる。また、評価項目に関しては細分化し過ぎないことが望ましく、アンケート調査票は、誤解されないような記述や、重複した調査項目がないように留意する必要がある。加えて、アンケート調査に関しては、経済性評価に関わる項目だけを抽出することは非効率であり、定性的な効果、問題点等も同時に抽出することが望ましい。
経済的な評価項目としては、コストだけでなく経済的効果を抽出することも考えられる。情報システムがもたらす効果において経済的に評価が可能なものとしては、職員の「業務の効率化」、通信費や外注費等の「コスト削減」、住民の「待ち時間削減」や「移動時間削減」等が挙げられる。「業務の効率化」や「待ち時間削減」等に関しては、効率化の割合や、削減された時間に人件費をかけることで経済的効果を算出することが可能である。
なお、人件費や電気代等の個別に把握が困難な情報に関しては、職員の平均人件費やGDP等を指標として用いたり、機器の消費電力に電気代を掛けることで算定する等の手法が有効であろう。
表2−16 「業務の効率化」の経済的効果試算例
注:経済的効果=業務に占める割合×効率化の割合×人件費×利用者
人件費は職員の平均人件費である336,000円を用いる。
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