日本財団 図書館


3−4 比較評価

ヒヤリング調査行った三つの地方公共団体の経済性の試算結果を比較評価する。

(1) 総コスト

 総コストに関しては、地方公共団体A(以下、団体A)がほかの2団体と比較して小さくなっているが、これは業務アプリケーションが含まれていないことによると考えられる。地方公共団体B(以下、団体B)と地方公共団体C(以下、団体C)には、業務系アプリケーションの活用、サーバを2台置いたCSS等、共通点は多いものの、団体Cの方のコストが大きくなっており、団体Cにはコスト削減の余地があることがうかがえる。端末1台当たりの総コストに関しては、最も大きい団体Cにおいて年間400万円以上になっており、ガートナー・グループの試算による約12,000ドル/年や、TCOコンソーシアムの調査による平均180万円/年を大きく上回っている。一方、団体Cでは情報システム利用者数が多いため、利用者当たりのコストでは団体Bが最も大きくなっている。

(2) システム構築費
 
 業務アプリケーションを含まない団体Aでは、外部委託開発費が発生しておらず、システム構築費がほかと比較して低くなっている。団体Cのシステム構築費は保守費を含んでいることを考慮しても、団体Bを大きく上回っており、両団体のシステム的な相違が少ないことから、団体Cにおいてシステム構築費を低く抑制できる可能性があったと考えられる。団体Cでは業務系アプリケーションのカスタマイズに大きな労力を要しており、これがシステム構築費を大きくした主たる要因と想定される。したがって、カスタマイズをいかに抑制するかがシステム構築費低減のキーポイントと考えられる。

(3) 運用管理費

 運用管理費においては、業務アプリケーションを含まない団体Aのコストはほかの団体に比較して小さくなっている。これは運用管理費において、業務系情報システムのバッチ処理委託等の外部委託費の占める割合が非常に大きいためであり、また、トナー等の消耗品費に関しても、業務系情報システムにおける消費が多い傾向にある。
 外部委託費に関しては、団体Cにおいて団体Bの倍以上のコストを負担しており、情報システム部門の職員数に大きな違いがないことや、地方公共団体として基幹業務が同じであること等を考慮すると、団体Cにおいてコスト削減の余地があると考えられる。
 また、保守費に関しては、団体Bのコストは団体Aの16倍以上になっている。団体Bのハード保守費用のみと、委託費に計上されているサーバ保守費用を足した団体Aのハード保守費用全体を比較しても、団体Bの保守費は相対的に高いと考えられる。団体Aにおいては保守契約を結ばずに端末に保険をかけることで、保守費のコスト削減を図っている。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION