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(3) 事前評価と事後評価

 情報システムの事前評価に関しては、調達する際に行われており、ある程度の数の地方公共団体において取り組まれていると予想される。 一方、導入した情報システムに関する評価、いわゆる事後評価に関しては、実施している地方公共団体が民間企業と比較して少なく、実施されている場合でも明確な指標を基に評価し、改善等に反映している事例はほとんどないと思われる。
 しかしながら、前述した情報化のマネジメントサイクルを実現するためには、事前評価から事後評価、事後評価から事前評価への評価サイクルの構築が非常に重要である。 つまり、定性的、定量的評価において情報システムを評価した後、その評価結果を基に次回の評価時における達成目標を設定することで再び事前評価を行う。 そして、その事前評価を基に既存の情報システムの見直しや新たな情報システムの構築を行い、再び情報システムの目標に対する達成度を事後評価するのである。
 本来、本調査ではこの評価サイクル全般を扱うところであるが、調査期間が情報システムの評価周期より短いことから、困難と考えられる。 そこで、運用管理の効率化方策を実施していく上で欠かすことのできない事後評価に焦点を当てて検討を行うこととする。


図2−5 評価サイクル

(4) 経済性評価

 本調査では、情報システムの定量的な事後評価を中心に検討を行うが、具体的な評価指標としては経済性(金額)を活用することとする。 昨今、注目されているTCO的発想は運用管理にかかる人的な労力も経済的な指標に換算した考え方であり、情報システム全体を定量的に捉える指標として有効性が高いと考えられる。 そこで、本調査では、情報システムの評価方法として、経済性評価に焦点を当て、経済性の評価方法やその活用方法を中心に調査を行うこととする。
 なお、オレゴン・ベンチマーク等からもうかがえるように、事後評価を事前評価(目標設定)に結びつけるためには、経済性以外の要素に関しても可能な限り定量化することが必要である。 そこで、経済性評価に重点を置きつつ、定性的評価の定量化に関しても検討を試みる。

 

 

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