1−2 本調査における情報システムの評価
調達時における評価やシステム監査のような従来の評価方法に加えて、近年、TCOに見られる定量化による評価方法や、行政評価のように地方公共団体の組織全体を視野に入れた評価も注目されてきている。
このような背景から、地方公共団体においても導入した情報システムの運用管理の効率化を図るために、情報システムの評価を行うことが不可欠になってきており、加えて、前章で述べたように、評価の内容を情報システムの構築、改善、運用管理の見直しに反映する、情報化のマネジメントサイクル(図1-1)の構築が望まれる。
本調査では、情報システムの評価について検討を行うが、評価方法も前述したように様々であるため、以下に示すように対象を絞り込むこととする。
(1) システム監査と情報システムの評価
システム監査は情報システムの評価に含まれるものの、実施主体が限定される点で評価全体と異なる。
つまり、システム監査は、対象となる地方公共団体(情報システム部門)から独立した第三者によって行われなければならないが、情報システムの評価では、必ずしも実施主体が第三者である必要はなく、内部で行うことも想定される。
本調査で提案する情報化のマネジメントサイクルの構築には、第三者の支援等も想定されるものの、基本的に内部における体制整備が不可欠であると考えられる。
そこで、本調査では、実施主体を第三者に限定せず、システム監査でなく評価という枠組みで調査を実施する。
(2) 定量的評価と定性的評価
情報システムの評価は、大きく定性的評価と定量的評価に分けることが可能である。
定性的評価とは「便利になった」とか「使い難い」といった数値化できないユーザーの個人的な感想等であり、このような評価は各地方公共団体においてユーザー・サポート等を通して随時行われている。
一方、定量的評価に関しては、ユーザーの利用率、トラブルの発生頻度、CPUの稼働率等、一部の指標が定量化されていたものの、情報システム全体を対象とした定量的評価は行われておらず、情報システムの改善や次の情報化施策に反映する等の取り組みはこれまでほとんど見られなかった。
しかしながら、昨今、TCOに見られるように経済性を指標とした定量的評価方法が登場し注目を集めている。
そこで、本調査ではTCO等を踏まえ、地方公共団体の情報システム全体を対象とした定量的評価に焦点を当てて検討を行うこととする。
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