日本財団 図書館


チャプレンさんがいない場合、他の医療者の役割となることもある。そのためにも、私達も自分なりの死生観を持ち、患者に接していかねばならないと考える。
(10)ボランティアについて
 人生の最期の時間を過ごすホスピスにおいては、その人らしい生き方を全うしようとするとき、専門の医療スタッフでは十分に満たし得ない患者・家族のいろいろなニーズがある。そこに働く医療スタッフのみにて自己充足的に働きがなされるとき、得てして起こりがちなケアの質の固定化・閉鎖性にボランティアは新しい人間関係をもたらし、施設に社会性・コミュニティをもたらしてくれると考える。ボランティアがいることにより、病棟が家庭的な雰囲気を持っているように感じるのはそのためかもしれない。

研修を終えて

 この研修中に実習場所と他1カ所緩和ケア病棟を見学させてもらった。また、写真にて他施設を見せてもらった。これから開設予定であるため、環境を知ることは重要である。全般的にどの施設も花や観葉植物・熱帯魚1鯉など自然を取り入れ、明るい環境であった。
開放的な空間があり、リラックスできるリビングやロビーを設けている。家族風呂や家族控え室・ファミリーキッチンなど家族を含めた施設もあり、一つの大家族のような感じである。病室も病院と思われない壁紙・カーテンを使用し、やさしさを出していた。実際に見たり聞いたりして今後の良い参考となった。
 講義・実習については先に記述したように、新しい学びや驚きがあり、単に緩和ケアの知識を得ただけでなく、今までの自己のふりかえりもじっくりとできたような気がする。緩和ケアにおける援助・死の迎え方を学ぶにつれて、どんな病気の人も同じような安らかな死を迎えたいと願っているのであるから、どこの病棟においても同じことができればとつくづく感じた。
この研修で学んだことを今後の緩和ケア開設に役立てるとともに、現在の病棟においても自分だけのものとせず他のスタッフにも伝え共有し、実践できることは少しからでも行っていきたいと考える。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION