またホスピス病棟で使用されていた薬剤の中には、一般病棟では保険の適応がないのもあり、今後医師・薬剤師との検討が必要と考える。一般病棟で十分な緩和ケアを行っていくにはまだ障害もあるが、日本にはホスピスが少なく、入院を希望してもベッド待ちとなり、待っている間に亡くなってしまう人がいることも今回の実習でわかった。ホスピスに入院できた人だけが残された日々を苦痛なく尊厳をもって過ごせるのではなく、一般病棟においてもホスピスに近いケアが受けられるようにしていきたい。そのためには、この研修で学んだ知識や技術を医師を含めスタッフに伝えていくとともに、患者・家族の人権と尊厳を尊重し、傾聴と共感的態度をとるようスタッフに徹底して浸透させていきたい。また現在チームナーシング制をとっているが責任の所在が明確でなく、スタッフの看護に対する意気込みも少ないと感じていたが、実習でプライマリーナースの役割をみてこの方がスタッフも覚悟ができ、看護専門職として伸びると思われ、また患者・家族も守られているという安心感を得ることができると考える。ぜひ導入していきたい。
感 想
2ヵ月間の講義と実習を通して、緩和ケアの基礎とホスピスの実際を学ぶことができ、今後の緩和ケアへの活用法を得ることができた。また研修中に自分の看護を振り返り、看護観や死生観を再構築することができ、貴重な良い時間を過ごすことができた。ここでの学びを施設に持ち帰り、終末期を苦痛少なく患者・家族が迎えられるよう努力していきたい。
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