(7)がん患者の家族への援助
患者は家族のメンバーの一人であり、家族も患者と同等レベルで看護していくことが大事。家族と医療従事者は協働関係にある。互いに情報を共有しながら意志決定し、ケアを進めていくことが必要。がん患者と家族との関係の質は、がん患者のQOLに大きく影響する。がん患者の終末期の迎え方によって、死後家族の適応は影響される、医療従事者に責任がある、と学んだ。患者の経過の長短にかかわらず家族の苦悩・悲嘆は強いと思われるが、どうしても患者中心の看護になってしまい、家族には現在の状況を説明するのみでほとんどケアというものができていなかった。確かに家族の強いニードとして患者の安楽を守ってほしい、今後の経過や予後を知らせてほしいということがあるが、これだけではやはり不十分である。家族が今どのようなストレスを抱え、危機の状態にあるのかどうかアセスメントするとともに、病的悲嘆を起こす可能性が強いと判断された場合、意図的・積極的に関わり、家族の死を受け入れていけるよう援助していきたい。日本人は感情を素直に出すことは少なく、またそういうことは見苦しいと考える人が多いと思われるが、グリーフカンウセリングのことも学び感情を明確に出すことは非常に大切なことであるので、家族介入をしっかり行い悲しみや怒りを出せる環境を提案していきた
(8) コミュニケーション論
コミュニケーション論に2日間、合計12時間も時間がとってあり、コミュニケーションが看護介入を行う際の基本であることを強く感じた。看護介入を目的としなくても成熟した人間となるには上手なコミュニケーション技術が大切と思われるので、貴重な学びを得たと思う。効果的なコミュニケーション技術として16項目あげられ、特に効果的な沈黙、看護婦の自己提供、患者の感情表現を促す、看護婦が感情表現をすることが大切と学んだ。2日間ともロールプレイを行い、それにより自己の欠点を明確にすることができた。私に欠けていたことは、効果的な沈黙、明確化、焦点化、要約である。何か話さなければという思いが強く、主導権をとってポンポン話してしまい、患者に考える時間を与えなかったこと、焦ってしまうので早口になって聞きづらくなること、焦点化や明確化をしないため会話が浅く、患者の気持ちや言いたいことを十分把握できず共感ができていないこと、要約を会話の最後にしなかったため患者に本当にわかってくれたかどうか不安を抱えさせてしまったことである。また模擬患者を用いて実際に会話する場面をみせてもらうことにより、どこが問題であるかより明確にすることができ、また効果的な距離の取り方も学ぶことができた。今後これらのことを気をつけながら会話をしていきたい。しかし一番大切なことは、患者の前にいるときは効果的なコミュニケーション技術について一切忘れることであり、心を空にして患者のメッセージを耳で聴き、心で受けとめていくことが大事と学んだ。実際患者の感情に焦点をあてようとするには心を無にしないとできないと考える。そのため日々訓練を積んで、意識しなくてもコミュニケーション技術が使えるよう努力していきたい。
(9) 緩和ケアにおける医療・福祉・介護に関わる社
会資源の活用
緩和ケアにおけるMSW(Medical Social Worker)の働きは、在宅移行時の援助、生活保護者の死後の問題に関する援助、療養に伴って起きる経済的な問題や、社会的・心理的な問題への援助である。これらは利用者の自己実現のための援助であり、媒介するのはMSWであるが活用するのは患者や家族であり、利用者の主体性を尊重することが大事と学んだ。在宅に移行する場合、帰ってからのその人の生活場面を想像して考えることが大事と話され、いろいろなケースを出しながら説明されたので非常にわかりやすく、MSWの仕事は本当に多岐にわたり大変だと感じた。私の所属する施設にはMSWがいないため、保健婦や事務の方にその役割をほとんど担ってもらっている。しかし患者や家族に一番接する時間が多い看護婦がもっと社会資源の活用法を知り、様々な問題をみつけ対処していく機会を与えていくことがこれから大事だと考える。私の施設でも在宅に移行していく患者が徐々に増え、また複雑な家族関係や一人暮らし、あるいは高齢者夫婦だけの家庭も増えてきており、知識は必ず必要であるし社会資源の活用頻度は増加していくと思われる。これから保健婦や事務の方を巻き込んでもっと勉強し、
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