(3)生命倫理・看護倫理
倫理の問題は本当に難しいと思う。それはその人のモラルに沿って正しいと思って行ったことが、他の人にとっては正しいとは思えないというように、個々の価値観が違うため難しいのだと考える。私の施設でも患者の積極的治療をどこまでするかということで、医師と看護婦の考えが食い違い、患者や家族に選択するよう話しても、先生にお任せします、となることが多く、結局医師の考えが尊重され、納得のいかないまま医師の指示を推考するということがある。今まで医師は自己中心すぎると感じていたが、今回講義を受け、医師は医師の価値観により患者のためを思って方針を決定しており、決して自己中心ではないのではないかと感じた。患者のために良い医療をしていきたいという考えは同じでも皆それぞれ価値観が違うため、ずれがでてくるのだと考える。そのため患者に関わっていくスタッフは全員カンファレンスに参加して、どうすることが患者のためになるのか話し合い、意識統一していくことが大切だと考える。また成人で判断能力のある者は、身体と生命の質を含む「自己のもの」について、他人に危害を加えない限り、たとえ当人にとって理性的にみて不合理な結果になろうとも、自己決定の権利を持ち、自己決定に必要な情報の告知を受ける権利がある、という生命倫理の原則を学んだ。終末期の患者や家族に対する医療者のとるべき態度は、苦しみから安楽死を望まれないよう症状コントロールをしっかり行うことと、必要な情報を提示して正しい判断が患者や家族にできるようインフォームド・コンセントをしっかり行っていくことだと考える。
(4)症状コントロール
症状コントロールは全ての患者にとって大切だが、特に終末期の患者にとって残された日々のQOLを維持・向上させるために、早期にそして確実に症状コントロールしていくことが大切と考える。症状はユニークなもので観察できるものではない。症状は持続的に現れることもあるし、間歇的なこともある。症状は、それを体験している本人によってのみ感じられ存在することが証明される。他の人によっては見ることも感じることも存在を証明することもできない。症状は医学的問題が関係することもあるし、関係しないこともある、と学んだ。そのため患者の症状を理解していくにはモニタリングはもちろんのこと、傾聴や客観的に質問していくことが大切だと考える。そしてもっとも大事なことは、患者の訴えを疑わず、誠意をもって対処していくことだと学んだ。癖痛・精神変調・全身倦怠感・死前喘鳴・消化器症状のコントロールについて学んだが、症状緩和をする際どうしても薬剤に頼りがちになる。しかし、その症状はなにが原因で起きているのか見極めることにより看護婦で解決できることもあり、症状を理解しアセスメントしていくことが大切と考える。特に口腔の問題(舌苔や荒れ)や口渇などは看護婦の工夫により緩和できることもあり、方法をいろいろ学んだのでこれから活用したいと思う。薬剤の使用方法に関しては、今回の講義や実習を通して持続皮下注入法の有効性を学び、必要を強く感じたので医師に伝えていきたい。また有効な薬剤でも一般病棟では保険の適応がないものもあり、今後医師や薬剤師との検討が必要と考える。また早期に症状コントロールし、在宅への移行や全人間的復権のために、リハビリテーションを行っていきたいと考える。当然安静の害を避け、廃用症候群を起こし寝たきりにならないよう初期より工夫していきたいと思う。どういうことが効果的で、また効果的でないか個々によって違うと思うが、いろいろ経験して自分のものにしたい。症状コントロールを行った際私達医療者が忘れていけないことは、症状がなくなればそれで良いということではなく、トータルペインの一部が改善されたにすぎないことを常に念頭においてケアしていきたい。
(5)進行がん患者の心理的特徴と援助
AguileaとMessickの問題解決モデルとFinkの危機モデルを使って、様々な危機に遭遇している患者を理解して看護介入を行うことが大切であることと、多くのストレスを感じている患者のコーピンクメカニズムを理解し、コーピングを促進するためにストレス・コーピング理論が有効であることを学んだ。私の所属する施設では月2回緩和ケア検討会を行っており、普段接していて問題があり、なんらかの解決が必要と感じた患者をあげて検討していた。しかし話し合いの結果に沿って介入したのに思うような成果が得られないこともあり、私たちの働きかけが悪いのだと考えていた。
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