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患者さんの環境を整えること、日々の生活を過ごしやすく調整すること、患者さんの話を聴くということ(コミュニケーション)などは、緩和ケアの基本は看護が本質的に果たす役割そのものであるということ、特殊なケアではなく苦痛を除去し安楽にすること、当たり前のことを当たり前にできるようにすることである。例えばヘンダーソンの掲げた基本的看護の要素14項目を整えることだと思った。昔からあるナイチンゲールの理論やヘンダーソンの理論が基本だということを実感した。
 また、ナイチンゲールは看護覚え書きの中で看護を「看護とは、自然がはたらきかけるに最もよい状態に患者をおくことである」、「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静けさを適切に保ち、食事を適切に選択し管理すること−こういったことすべてを、患者の生命力の消耗を最小限にするように整えることを意味すべきである」、「看護とは、生活過程(暮らしの営み)を通して生命体にはたらきかけることである」と述べている。また、「健康とは、よい状態を指すだけでなく、われわれが持てる力を十分に活用できている状態を指す」と述べている。したがって、最後の最後までその人の内にある健康な力や残された機能をよく見定め、その力を十分に使って生を全うできるよう、生活過程を整えていくことが看護婦の役割となる。
 医学のとらえ方は、生きてきた過程や生きている過程を丸ごと見ることをしないで、結果として起こった現在の身体の変化のみから病気をとらえようとするが、看護は過去からの(生活)過程の結果として現れたのが今の病気という、現象という視点で病気をとらえる。つまり、看護は今ある現実だけでなく、現実をひきおこしている過去にさかのぼって今をとらえる。病気だけではなく、生活を見つめている。ナイチンゲールのいっていたことは、緩和ケアの看護に通じている。そして、緩和ケアは看護の基本であるとし伐ると思う。
 当院の緩和ケアにおける看護は基本的にはできていると思う。しかし、PCUが独立した病棟ではないので、急性期の患者さんもいれば、人工呼吸器をつけている患者さんもいるし、手術もあるという煩雑な中にPCUの患者さんを見ていくということには限界がある。PCUの看護をしていくには、物理的なゆとり、時間的なゆとり、これに伴う精神的なゆとりも必要である。患者さんや家族とゆっくり関わることができない、話を聞くことができないというストレスは大きい。このストレスは、今後緩和ケア病棟が開設されればある程度の解消は図れると考える。しかし、緩和ケアの看護実践の中で今後は理論の活用をしていきたいと感じた。そうすることで自分たちの看護が明確になると考える。
 また、清瀬病院のボランティアとチームアプローチは充実しており、学ぶことが多かった。
?ボランティアの活動状況(1997.12〜1998.1 救世軍ホスピスだよりより抜粋)
 ボランティアの1年間延人数 1,475人
 ボランティアの月平均人数 123人(124名)
 毎月平均実働奉仕時間 609時間(595時間)
 1人の1日の平均奉仕時間 5時間(4時間50分)
 ( )内は10月のデータ
 

ボランティア研修 1回
 ボランティアと病棟スタッフとの話し合い 2回
 ボランティアの人数 法人会員38名、個人会員673名
?ボランティアの活動内容
 ホスピス病棟におけるボランティアの存在は大きく、不可欠な存在である。40人が登録されている。曜日やグループごとに分担して活動している。活動内容は
 ・チャペルタイム、ティータイム、ミュージックタイムなど病院行事関連の活動
 ・お花の水替え、掃除、お茶配り、配膳の手伝い、ガーゼたたみ、布カット、買い物の手伝い、散歩の付き添いなどの生活ケア
 ・入浴介助の手伝い、移動図書、庭の手入れ、園芸、事務手伝い、鉢植え、プランター、アート、イベント手伝い、見学補助、ハンドワークなどのグループ 活動
?ボランティアの教育方法
 「ホスピスボランティアの皆様へ」と「紙上研修会」のパンフレットを渡す。集合教育はしていない。
 パンフレットの内容は、?ボランティアとは、?ホスピスでのボランティアとは、?活動にあたって(心得やきまりなど)、?活動のあらまし、?活動の内容および留意点について書いてある。

 

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