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過去の自分の実践の積み重ねが重要であり、価値観も大きく関係してくる。日常の業務のなかで、「あれ?」と思うことを見て見ぬふりをしないことが大切ということを学んだ。今までは、セデーションについてなかなかこれでいいという自信が持ちにくかったが、症状コントロールのグループワークですすんでセデーションを選び学習したことで、自分自身の考え方や捉え方が安定してきたと思う。
 また、講師の先生方の言葉で印象に残っていることを一部記録しておきたい。
・資格や免許というものは、その時々や時代の流れに 合わせて学習し、社会の状況に対応できる能力を、 誰にいわれるでもなく自発的に身につけることができる人に与えられるもの。それができない人は返上しなければならない。
・たとえどんな状況でも、優しくすることができないナースは緩和ケアに向かない。患者さんはわずかな表情も見逃していない。

考 察
 この2ヵ月間の研修で、不足していたたくさんの知識を得ることができたことは本当に良かった。研修生それぞれの立場で学ぼうとする視点が違うので、いかにそれをはっきりとさせ、その目的にそって研修できるかが大きなポイントだったと思う。しかし、学びの姿勢に対しては、ほかのどの研修生からもその必死な気持ちが痛いほど伝わり、お互いの相乗効果で一段と大きな思いになっていったように思う。そして、実習後から実習や研修のまとめに取り組みはじめて、それまで最新で最高の知識を与えられ体験したことが具体化し、大変な勉強をさせていただいたのだという実感がわき、今になって感動で身震いがする思いである。これだけの学びを現場にもって帰り、果たして還元できるだろうか、現実の忙しい世界で実践に結びつけることができないのではないか、などの不安がよぎったりもする。しかし、それを実行に移すことで、また一段と自分を成長させることができるとも思う。この学びが活用できてはじめて、この研修の成果がえられるのではないだろうか。

おわりに
 看護婦になってこれほどの長期の研修は初めてであり、現場を離れて冷静な自分に戻って勉強できたことは、振り返りや今後のことなどを考える上で大変良かったと思っている。今後は、学びを実践に活かすだけでなく、研修で知り合った仲間とともに緩和ケアの維持向上が図られるよう努力したい。センター長に「何ごとも初めてというものは、いろいろな面で苦労したり大変はつきもの。しかし、そういう中から将来優秀な人が出るのもこれまたつきもの」といった内容のお言葉をいただき、私はそれからは外れるが、仲間に恥じない仕事だけはしていきたいと思う。この素晴らしい研修を終えただけで自己満足してはいけない。与えられた勉強をしたにすぎない。これからの緩和ケアナースに求められるもののひとつとして、世の中の人に緩和ケアについて知らせる能力を持つことも大切だと学んだ。研修よりも今後のほうが大変とは思うが、この2ヵ月間の学びを少しずつでも実践に結びつけられるよう努力していきたい。

 

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