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 何を大切にしているか、患者、家族、看護婦(看護婦一人一人)によってそれぞれの価値が違うことを認識しておかなければならない。何がいいかは柔軟性をもって考えていかなければならない。また倫理問題分析モデルを用いた客観的な判断をし、あらゆる場面で判断を繰り返し自己の倫理観を高めていかなければならない。

 (3)緩和医療について
 緩和医療の目指すものは?全人的ケア、?QOLの向上、?チーム医療、?継続ケア、?家族のケアである。
 緩和医療の実践と発展のために、従来のがん治療では十分ではなかった“人間科学的アプローチ”と、従来のターミナルケアでは十分でなかった“自然科学的アプローチ”の統合と調和が重要である。そして医療者に求められるのは「誠実」「感性」「忍耐」「謙遜」「真の愛」であるといわれ、最後には医療者の人間性が問われるのではないかと思う。
 今後の課題は?インフォームド・コンセントの実践、?自己決定権の尊重(情報提供を正しくしていく)、?ホスピスケアの数・質の拡充(質の低下が問題)、?チーム医療の充実、?在宅医療の拡充、?緩和医療の発展、?研究と調査、?教育と研修である。

 (4)緩和ケアについて
 基本理念は、緩和ケアとは、治癒を目的とした治療に反応しなくなった患者に対する積極的で全人的なケアであり、痛み、その他の症状コントロール、心理面、社会面、霊的な面のケアを最優先課題とする。
 最終目標は、患者とその家族にとってできる限り良好なクオリティ・オブ・ライフを実現させることである。(WHO)
 トワイクロスは、緩和ケアの基本的考え方をホスピスの家にたとえて示している。

 

 1階には緩和ケアの基本となる3つの大きな柱が描かれている。第1の柱は「症状コントロール」、第2の柱は「心理・社会的支援」である。この2つのケアが第3の柱であるチームワークでしっかり結ばれている。この3つの柱からなる1階を地階で支えているのは「患者の人間性の受け入れ」と「患者の人間としての真価の是認」である。さらに2階と3階には「対応の柔軟性」、「患者に対する尊敬」、「創作活動」、「美しい施設」が加えられ、緩和ケアを一層充実させている。
この図に示されれた緩和ケアの考え方は、科学一辺倒であったがん医療に人間性を加えるという考え方に基づいている。その効果的実践には医師を頂点に置く医療システムではなく、複数の医療職が対等な関係を保ちながら各自の役割を果たしていくチーム医療が必要であり、そのチームワークの在り方がケアの質の向上に関連している。チームの中の中心的役割を果たすのは、患者の心身の苦痛にいつも向き合って対応している看護婦である。
 私たち看護婦は患者をしっかりとらえ、ケアの実践者としての役割、コーディネーターとしての役割を果たしていかなければならない。

 (5)腫瘍学について
 癌について発生から合併症、診断・治療については具体的であり、よく理解できたと思う。癌は遺伝子の病気であることや、診断にはあらゆる方法があり、どういう診断法を用いて診断し、あらゆる治療法の中からその癌・症状・患者の生活状況をも考慮した治療法を選択することが重要であると思う。

 

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