良き理解者になりたい
京都府立洛東病院
三好美鈴
はじめに
今回の研修の募集を知った時、たいへん興味を持ちぜひ参加したいと思った。なぜなら、当院は緩和医療を必要としており、私も院内の緩和医療設立委員会及び緩和ケアセミナー企画委員会の一員として情報収集及び勉強をしているところだったからである。昨年の8月より院内セミナーを開催しているが、より深い知識と具体的な情報を得るために参加させていただくことになった。そして今、2ヵ月にわたる長い研修も無事終了することができ、たくさんの学びができたと思う。一部分であるが、ここに報告したいと思う。
研修希望時の課題
研修の申し込みを行う時にかかげた課題。
?緩和ケアの理念に対する理解を深め、看護の目的を明確にする。
?終末期の患者及び家族の肉体的、精神的ニードに対する理解を深め、それらのニードに応えるための具体的な方法を習得する。
?緩和ケアに携わる者自身の心理状態に対する理解を深め、より有効な対処方法を習得する。
受講するにあたっての課題
研修受講前のレポートにかかげていた課題。
仕事の中で終末期の患者さんとの出会いを通して勉強させてもらっている。また、自分なりに勉強もしているつもりだが、なにか通り一遍の理解に終わっているように思える。このもどかしさの原因は、自分自身の未熟さからくるものと思われる。終末期の患者さんや家族に相対した時、自身の自我の不安定さ、自信のなさゆえに逃げ腰になってしまう。そうならぬように、自信を持てるだけの緩和ケアに関する理念の理解、知識と技術の習得を目指したい。その上で、自分自身を振り返る機会にし、自我の向上ひいては看護の向上を目指したい。そして、後輩たちに対しても指導やアドバイスができるように成長したい。
講義内容と学び
〈文献検索〉今田敬子先生 日本看護協会看護教育・研究センター図書館・司書
?検索する前に、何を探しているのか、何をゴールとするのかを文章として明確にしておくこと。
?ひいた文献中の必要なものを選んで組み合わせて自分の考えを組み立てていく。
〈腫瘍学〉新保卓郎先生 京都大学医学部総合診療部
?癌は遺伝子の変異によって発生する。癌の増殖には多段階の変化が重なっている。
?癌はあらゆる臓器の正常な機能を阻害する。その過程と症状を理解する。
?癌の診断と治療。治療方法の発達及び副作用について理解する。
?癌治療におけるEBM(Evidence-based Medi-cine)。根拠に基づいた診療方針の決定。
〈緩和医療〉恒藤 暁先生 淀川キリスト教病院・ホスピス長
?緩和医療の目指すもの−全人的ケア、QOLの向上、チーム医療、継続ケア、家族ケア。
?“自然科学的アプローチ”と“人間科学的アプローチ”の統合が重要である。
?医療者に求められる姿勢−誠実、感性、忍耐、謙遜、真実の愛。人間に生きがいを与えるほど大きな愛はない。
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