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・患者や家族にとっては、自分の担当看護婦ということで信頼関係が強くなる。
・困難な問題であっても対処しなければならないため、看護婦自身の問題解決能力が養われ成長していく。
・それぞれがプライマリ・ナースとして、チームから支持されたり、サポートされる体制ができチームワークが強まる。
・担当医師とのコミュニケーションがとりやすく、方針が決めやすい、等である。サブプライマリ・ナースを決め、2人で連携をもってケアしていく。勤務体制は、3交代制、もしくは変則2交代制。
 実習病院では2交代のところがいくつかあった。これは看護婦の配置人数や休暇の問題と、患者・家族は日中に比べ夜間帯に不安が増したり、症状が悪化することが多い。深夜帯に担当の看護婦がかわることは、患者・家族にとっては不安であり、一晩を通して同じ看護婦がそばにいてくれるということで、安定がえられるのでは、と考える。
 緩和ケア病棟、緩和ケア外来、在宅ケアのシステムをとり、連携をとる。退院されてからも不安のないようシステムを充実させていきたい。また、24時間電話相談を設け、病棟看護婦がその任務にあたる。
 ?スタッフ教育
 プライマリ・ナーシングは、提供する看護の質が看護婦の資質により差を生じることは否めない。しかし患者は、必要なケアが一定のレベルで受けられることを要求する。そのためには知識、技術を高めるだけではなく、感性、アセスメント能力など人間としての成熟度を高める努力が必要である。その前提の上で緩和ケアナースとして要求される内容を身に付けていくことが必須となる。たとえば・インフォームド・コンセントについて・ガン末期患者の心理とケアについて・家族や遺族の心理とケアについて・症状コントロールについて・疼痛コントロールについて・コミュニケーションとカウンセリング・スピリチュアルケアについて、などである。この内容については今後検討していく。また、事例検討会、院外の研修参加も積極的に行う。
?患者や家族のための行事・サービス
季節を感じ、心を癒すものとして、ひな祭り、花火、お月見、クリスマスなどのイベント、また誕生会、家族の記念日お祝いなどプライマリ・ナースのコーディネートにより行っていきたい。

今後の課題

 多くのホスピス、緩和ケア病棟では、ボランティアがチームの一員としてスタッフを支えていた。病院という閉ざされた空間に“社会の風”を運んでくる、貴重な存在である。ボランティアの人たちに接するとき、患者は我々医療者には見せない良い表情を見せる。ボランティア組織を立ち上げていきたい。しかし、それには準備が必要である。ボランティアに何を期待し、なにを担ってもらうのか、そのためには教育はどうするか等取り組むことが山積している。

おわりに

 今回、緩和ケアナースとして必要な知識・技術・態度を系統だてて学ぶことができ、多くの喜びがあった。学べることへ感謝の気持ちで一杯である。
 ホスピスの語源は「あたたかいおもてなし」であるが、緩和ケアで大切なのはこの気持ちを実践すること、常にここへ立ち返ることである。そして、この病院に入院して最期のときを過ごして本当に良かったと、患者・家族に言ってもらえるような緩和ケア病棟にしたい。

 

〈参考文献〉柏木哲夫:ナースのためのホスピスケアマニュアル、金原出版 1997
田村恵子:痛みをもつがん患者の特徴、Vol3 No2 南江堂 1998
小島操子:緩和医療における看護の役割と責務、第3回目 本緩和医療学会総会抄録集 1998
丸口ミサエ:の現状と課題、:看護体制と病棟における教育 看護管理Vol6 No10 医学書院 1996

 

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