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まず十分な家族アセスメントをし、誰にどう働きかけていくかということが家族援助への重要なポイントとなってくる。言い換えれば、家族をよく知らないと適切な家族援助ができないということである。
 現場に戻りまずできることは、丁寧に家族を見ていき、家族のニーズを見つけることと考える。そこから必要な援助を行えるようになっていけると思う。これ
は、実践で経験していくことで、よりよい家族援助ができるようになっていくと思われる。日々実践のなかで努めて行っていきたいと思う。

症状コントロール

 終末期患者のほとんどに見られる疼痛は、患者のQOLを低下させるだけでなく、生きる気力を失わせ、絶望感を与えてしまう。現在では、疼痛コントロールはほぼ確立されていると言われており、適切に対応できるようになってきていると言われてきている。しかし、まだ十分な疼痛コントロールがなされていないのが現状である。
 その原因としては幾つかあるようであるが、まず看護婦としてできることは、?痛みの原因を理解し、痛みの予測・予防を考えること、?疼痛コントロールについて正しく理解していること、?注意深い観察と適切な評価ができ、必要なチームメンバーに伝え対応していくこと、と考える。
 そのほかの苦痛症状や精神変調などについても、以前に比べ様々な薬剤が使用されるようになり、また薬剤以外の対応がなされるようになってきており、それらの基礎を学ぶことができた。
 そして今までどうしても理解が難しかった霊的痛みについては、笑いあり、感動の涙ありの具体的な実践での話をとりいれた講義を聞くことができた。そのなかで自分の死生観を持つことの重要性について理解できた。私は去年母を亡くしてから最近になって、やっと少しずつ気持ちが楽になってきた。人は死んだ後この世を去って天国にいく。だから自分は天国で母にまた会えると考えるようになった。死は最終的な別れではないと考えることで、気持ちが落ち着き救われるようになった。これが私の死生観なのかもしれないと感じた。病院で死を迎える患者にとって、私たちは最後の癒しの提供者となりうるということを忘れず、大切にかかわっていきたいと思う。

チームアプローチ

 緩和ケアを行っていく上で、チームアプローチは最も重要で必要なことである。チームアプローチがうまく機能しているか否かで、患者および家族へ提供されるケアの質が変わってきてしまう。
 チームアプローチでは様々な専門職が、共通に認識されるゴールに向かって、それぞれの役割に沿って働きかけるということである。このことは実習においてもよく理解することができた。
 施設では申し送りやカンファレンスには看護婦、医師、薬剤師、ソーシャルワーカー、看護助手、教育研究者、チャプレン、ボランティアとあらゆるチームメンバーが参加し、情報の共通理解とケアの方向性について話し合われていた。看護婦はチームアプローチを行う中で、チームメンバーがそれぞれどう働いているかを客観的な目で評価、アセスメントし、常にチームがうまく機能していくよう調整していくことが重要であると理解できた。
 そのような中、個々の価値観や人生観、考え方に相違があるため、意見の食い違いが生じ、チーム内で方向性が見失われ不調和が起こってきたりする。施設ではこれを解決していくために、カンファンレンスの場にて、チームメンバーへ改めて考えを聞いてみたり意見を求めたり、自分の意見を述べ互いの意志を確認し合って、チームの方向性を決めたり、訂正したりしていた。このような対処が行われることは、自分と違った意見を聞き学ぶことができたり、自分の行ったことを他者に評価してもらうことができ、自己の成長にもなるだけでなくケアの質の向上にもなると考えられた。
 このチームアプローチをぜひ現場において活用していきたい、活用していかなければならないと思った。しかし今の現状をすぐに変えていくことは難しいと思う。そこで現場に戻ってまず自分が行えることを考えてみた。まず私が自分の意見や考えをきちんと伝えていくことと、様々な職種や他の違った意見や考え方を聞いたり、自分の行ったことに対する他人の評価を求めるようにしていきたい。

 

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