患者にとっての今の大切さ
岡山大学歯学部附属病院
岡本多恵
研修の概要
〈目的〉
ホスピスに入院されている患者・家族の24時間の生活状態を知る。
患者・家族のニードを満たすためにどのような人たちがどのようなかかわりをしているのか知る。
症状コントロールの実際と評価の方法を知る。
告知された患者・家族の精神的支援と悲嘆のプロセスを学ぶ。
〈内容〉
第1週目はペアナースとともに日勤業務を実習する。(日勤業務の流れ)
・ケアの工夫
マットレスの工夫(皮膚の状態や患者さんの寝心地にあわせて変更)
体位変換(フローテーションマットを使用し除圧をはかる)
かき氷(食事が食べれないなど希望される方につくる)
シュアフューザー(持続皮下注で注入量の安定した人はディスポのシュアフューザーで軽量化することで携帯しやすくしている)−12h、24h、2day、3day、7day
摘便の工夫(ポータブルトイレに移動できる患者さんで摘便が必要な場合、バケツをセットせず床におき、できたスペースから手を入れて摘便する。摘便しなくてもよいときはバケツの下に箱を入れ定位置の高さにする)
処置用シーツ(約50cm×50cm、裏が防水加工。おむつ交換、陰洗、ライン留置時等に利用)
ポケベル(ナースコール用。コンピューター入力すると受け持ち部屋のみがなり、他の誰かがナースコールをとってくれても部屋番号の記録が残る)
・お別れ会・お誕生日会・毎月の行事が行われていた。
お別れ会(家族が希望された患者さんにはお別れ会が開かれる。ボランティアのオルガンで賛美歌を歌う、チャプレンによる聖書の朗読、医師からのお別れの言葉、献花の後玄関までみんなで送る)
お誕生日会(お誕生日の前にはカードにスタッフみんなでお祝いメッセージを記入。当日お部屋でカードと花束を贈りハッピーバースデーを歌い、記念撮影をする)
毎月の行事(季節の行事、遠足、犬猫ボランティアなどが催される)
第2週目はホスピス病棟に関連する部署・スタッフについて学ぶ。
・ソーシャルワーカーのお話をうかがい役割を学ぶ。
ホスピス担当のMSWが1名決まっており、関連する相談はすべてその方が受ける。電話・面談による相談を受け、記録を残す。入院中の患者さんで経済的・社会的問題が生じた場合の調整など。専門職の狭間になる仕事は何でもするとのこと。
実習から学んだこと
研修開始当初記入した「実習申込書」には、ペインコントロールについて具体的な方法を学び自分の施設にも紹介できる、ターミナル期の患者さんの精神的サポートができる(ベッドサイドでゆっくりと話が聴ける、患者さんのニードが正しく把握できる、ニードに対し適切な援助ができる)という目標をあげていた。その後研修が進むに従い、症状コントロールについてかなり具体的な方法を学び、ペインコントロールに関しても知識を得ることができた。
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