日々の業務の振り返り
医療法人社団かとう内科並木通り病院
大口浩美
はじめに
私は、この緩和ケアナース養成研修の実習について、大変大きな期待をもって臨んだ。まだ、開設して1年半、認可が下りて1年余りの病院において、日々の業務に追われる毎日の中で、当院しか緩和ケアを知らず、常々他施設での状況も知りたいと思っていた。1年余りという短い期間ではあるが、この緩和ケアでの経験を踏まえ、今までの振り返りと、改めて基礎からの学習を行い再確認をした上で、他施設における緩和ケアの体験ができることに喜びを感じていた。そして、自己の成長とともに当院へその学びを還元したいと考えていた。今回、国立がんセンター東病院(以下、東病院)において、この目標に沿った実習をすることができたので報告したい。
研修の実際
実習で関心をもって臨んだことの一つとして、チームアプローチがあった。当院のチームは十分にかみ合っているといえるのだろうか、今のままで深めていけばいいのだろうかという思いがあったからだ。初日に、さっそく合同カンファレンスがあり参加させていただいた。まず、参加スタッフの人数の多さに驚き、そして一症例にかける時間が5〜6分と早く要点だけ行われ、随分当院との違いを感じた。以前はもっと時間がかかっていたということだが、在院日数が短く入退院が多い状況で、限られた時間で対象をすべてカンファレンスにかけることが困難になってきたことと、業務の見直しということであった。確かに、当院でも全ての事例をタイムリーにチームカンファレンスへかけることは難しく、毎日のショートカンファレンスで対応せざるをえないことも多い。各関連職種すべてに意見を求め話し合っていると、限られた時間で終わらない現状がある。東病院でも、効率良く進めるためのカンファレンスの主な流れがマニュアル化されていたが、看護婦、医師からの問題提議のあと方針が出され、コ・メディカルについては、そのあとであり少し意見が少ないように感じていた。
また、朝の申し送りも、ミーティングを入れて15分程度と速く、夜勤の出来事と検討が必要な事柄だけを送り、精神面や家族ケアについても細かく送っている当院との大きな違いを感じた。その時間の差がベッドサイドへ行く時間を遅くし、居る時間が短くなっていることにつながっているのは確かであり、申し送りの短縮化に向けて改善が必要だとは思っている。申し送り前にカルテに目を通し情報収集する点は同じであるが、そのことで大体把握でき、不安なくべッドサイドへ行くことができているようにみえた。それは計画の見直しを含め記録の充実もあったように思う。しかし、深夜から日勤に比べ、日勤から準夜への申し送りは、メンバー全員がそれぞれに送るということもあるが、30〜40分かかっており、申し送りまでに記録ができているかによっても変わってきているようであった。
いずれにせよ、チームメンバーのそれぞれが十分に情報を把握していないと、短時間で行われるカンファレンスや申し送りに参加することは難しいように思えた。しかし、普段から、日常的に詰所のなかで頻繁にディスカッションが行われている光景を目にした時、自分の持っている情報を提供することによって、その共有化がなされているようにみえた。そして、方向性の統一や、自分が行う行為に対しての確認と自信が得られているように思えた。こういった情報交換が密に行われていることで、カンファレンスや申し送りの短縮につながっていったのだと思う。さらに、チーム全体でお互いを理解し援助し合っているという意識にもなり、
前ページ 目次へ 次ページ