正面を向いて患者さんに対応を
和歌山県立医科大学附属病院
岡本恭子
実習目標
1)施設の理念を理解し、その中でホスピスがどのような役割を果たしているかを理解する。その理念のもと、どのようなスタッフ教育がされているか知る。
2)緩和ケアの実際と、チーム医療の中で看護及び看護婦がどういう役割を担っているかを知る。また具体的にチーム医療がどうなされているかを知る。
3)緩和ケア病棟で起こりうる問題点を知り、その対策を考える。
4)夜間の勤務体制、業務を知る。
5)ボランティアの導入、育成はどうなされているかを知る。
6)緩和ケア病棟より訪問看護への連携がどうされているか知る。
実習内容
病院は、神戸電鉄〈岡場〉の駅よりタクシーで5分余り。丘の上にあり環境は抜群。しかし周りは住宅以外何もなく静かそのものである。病院は金曜日が半日、土曜日がお休み、日曜日は平日同様の診察を行っているため私たちが着いた日曜日の夕方もたいへん賑わっていた。
毎朝午前8時30分より礼拝堂で職員礼拝があり、出席できる職員はできるだけ出席するということになっているとのこと。しかし病棟の申し送りは8時開始のため、病棟スタッフはなかなか出席できない様子。病棟では、申し送り前に必ずお祈りが行われる。実習初日職員礼拝に参加し、そこで看護部長に職員に紹介される。そういうこともあり、私たちはアドベンチスト病院のスタッフ全員に迎え入れられているように思った。
実際、病院の雰囲気はとても和やかで、会う人達が挨拶を交わし細かい部分への心配りを感じた。
院内のオリエンテーションでは、病院が明るく清潔であり、廊下・部屋も広く、ベッドも通常のものより大きいものが使用されていた。病室の前には、プライバシー保護のため名札は使用されていない。ベッドネームだけである(ホスピス病棟だけではなく全病棟がそうであった)。ナースセンターにも患者名がなく
ルームナンバーのみである。
ホスピス病棟は全室南向きで、暖かく明るい。個室・2人部屋ともにテレビが置かれ、電話も1台ずつ設置されていて、いつでも家族と話すことができるようになっている。
シャワー(部屋によりバスタブ)が設置されているが、実習中は使用されることがなかった。患者さんによっては、寒くなってくるとシャワーより湯槽に浸か
りたいと院内のお風呂を使用されていた。トイレもやはりポータブルを使われる人が多かった。
ロビーは明るく、緑が多く、ソファもピンクのやわらかい色合で全体的にソフトな雰囲気を醸していた。そこには熱帯魚の大きな水槽がおかれ、ほっとする。ホスピスでの生き物の重要性を実感する。
1)スタッフ教育
病院スタッフの70〜80%が信仰をもっているとのこと。確かに病院スタッフの皆さんのさわやかな笑顔が素晴らしい。しかし入院患者さんに信仰を押しつけることはない。スタッフ教育についてはオリエンテーションの時点で接遇・言葉遣いについて厳しくされるとのこと。新採用時は看護マニュアルを各自一冊手渡し、それにて手技の統一をはかっている。
ホスピス入院患者さんは皆、ここに入院できて幸せ、こんなになんでも自由にできてうれいしといわれる。
前ページ 目次へ 次ページ