霊的ケアの大切さを理解
社会保険神戸中央病院
加勢川幸子
PCUで勤務して2年目であるが、精神的・霊的苦痛の緩和の難しさを日々強く感じている。医療者の関わり方によってその苦痛が左右されることが多いが、なかなか十分な関わりが持ててるといえず自己の勉強不足を感じている。また、人間的にも成熟していく必要性も強く感じている。不安や疑念、死の恐怖といった心理的な苦悩に直面した患者や、悲嘆のうちにいる家族に対しての関わりの振り返りと再学習が、私の今回の実習の目的であった。
姫路聖マリア病院ではパストラルケア部があり、病院全体の霊的ケアを行っている。ホスピスにも多く関わっておりカンファレンスに神父様も参加されている。またシスターがパストラルケア部に所属しているので、毎日ホスピスでは霊的ケアが行われているといっても過言ではない。実習中もシスターの対応からホスピスの理念が伝わってきて見習うところが多くあり、私たち実習生にも親切なもてなしをしてくださり感謝している。
神父様ともお話の時間を作っていただけ、パストラルケアについてより深く知る機会をもてた。トータルペインについてもさらに詳しく教えていたいだき、今までのどちらかというと言葉だけの理解だけではなく、パストラルケアを通して人間が身体・知性・精神・心・霊一魂からなっている一つの自我・有機体あるいは一体であり、健康は人の身体的、知的と精神的、社会的と霊的次元を含むため、人が病気になったとき、身体だけが苦しむのではなく、全人として苦しむことについて深く理解できたと思う。
また、ホスピスケアの中でも大切な傾聴の姿勢についても患者さんのありのままの状態で出会うということや、その難しさなども教えてもらい今後の看護に役立てていきたいと思う。そんな中で受け持ち患者さん・家族と関わり、今までよりも深く感情に沿ってお話を聴けるよう意識することができたのではと思っている。しかし、パストラルケアは奥が深く、私はその一部分しかふれていない。まだまだ多く勉強することが必要である。
患者理解は深まったが、関わりの前提として自分自身をよくみつめ、自分を知り自己の感情に気付いていく訓練をすることが今後の課題である。
1時間少々の話を終えて学んだことも多かったが、神父様とお話しして私自身が癒された気分になった。また、実習中は毎朝の礼拝や病院の至る所にマリア様が飾られており心の安らぎを感じた。
私の勤務するPCUには霊的ケアの専門家がおらず看護婦の負担が大きいのも事実である。そんな中でまだまだ勉強不足の自分に対しかなりストレスが生じていたことにも気付かせていただいた。霊的専門家がいないから霊的ケアが不足しているといわれないよう、研修中の学びや実習中の学びを所属のチームで分かち合い、今後の看護に生かしていこうと思っている。そして同時に霊的ケアの専門家が必要であることもアピールしていきたいと思う。いろいろ課題は多いが、それだけがんばりがいがあるぐらいホスピス・緩和ケア看護は面白く、たくさんの気付きや学びがあり魅力的と感じた。
マリアのホスピススタッフも皆いきいき看護されており、私も刺激を受けた。また、目的には挙げてはなかったが、ボランティアの利点・問題点もよくわかり今後導入にあたり大変参考になった。
今の私には、看護に対する情熱は誰にも負けないくらいあると思っている。その気持ちを行動にかえながら、今後もチームアプローチに励みたいと思う。
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