プライマリーナースと患者さん・家族の結びつきも結構サラリとしている感じも受けた。患者さんに感情的に入りこんでしまうとまわりが見えなくなったり、結局何が本当に問題なのか見えなくなることもある。プライマリーナースの負担も大きく、こちらが参ってしまうということもあり、距離のとり方も難しいものだと思うが、その人の人間性を理解し気持ちにそったケアをするには、とても重要なことだと私は思っている。
ナースの教育面についても興味があり、新人オリエンテーションの資料も見せていただいた。それぞれの経験年数に応じた課題もあり、ケーススタディ、プロセスレコードをされたり、危機理論、セルフケア理論についても教育を受けているようであった。
私たちのチームにはいない職種の方もおられた。カウンセラーで、臨床心理士という職種の方であった。カウンセリングはもちろん、電話相談も担当され、外来でも初診患者さんの予診のような感じで、患者さん・家族と話をされていた。また、リラクゼーション療法も行い、外来での記録を見るとリラクゼーション療法後、患者さんは「雲の上にいるような感じ。気持ちいいです」と言われたことが記録されていた。また、精神腫瘍科の医師もチームに入っていた。精神腫瘍科の外来もあり、時間があれば見学したいと思った。病棟にはコンサルトがあると診察に来られ、うつ病、せん妄など精神症状の診断、治療、不眠に対する治療に関わるようであった。
外来にも見学に行った。がんセンターでは患者さんは早い時期からPCU登録をして、元々診療を受けていた科(頭頸科、泌尿器科等)と並行してみていく形か多かったように思う。その時々の状況に応じてPCUが関わっているようであった。PCUの志真先生はがんは慢性疾患であるということを言われていた。発症からの全体の経過を見ていくことが大切で、その状況に応じた治療が必要であるということだと思う。治療がもう無理だから、これからはPCUで…。とプツンと切り離されたものではなく、では今度はいかに症状コントロールをし、家に帰れるかというように、PCUはがん治療の経過のなかの一部であり、大きくがん患者さんをみているという感じを受けた。
看取り時のケアについても、個々の施設によっていろいろあるかと思い、機会があれば入りたかったが、残念ながらタイミングが合わなかった。国立がんセンターはモニターを付けず看取るということであった。それには、モニターがないことを不安に思う家族もおられるが、できるだけ自宅での看取りに近づけたいということと、機械ではなく患者さんの呼吸や脈拍を見てしいくということを説明しているということであった。また、看取り間近の患者さんにはDNRの説明という形で心臓マッサージ、人工呼吸器などの延命措置は行わないという確認を取り、心電図モニターは付けない、訪室時に呼吸・脈拍・血圧をしっかり見ていくということ、死亡確認は平日の日中は病棟医が、休日および夜間は当直医がするということ、亡くなった後は霊安室に行き、手配した葬儀社の車で帰ってもらう、という一連の説明をするということであった。ここまで話し合い体制を作っていれば、看取りはモニターがなくても、主治医がいなくてもできるんだなと思った。後は私たちが家族をしっかりフォローし、亡くなられるまでに起こる身体の変化を説明し、変化があればすぐに呼んでもらうようにすればと思った。
その後の遺族ケアについては特に、病棟側から働きかけはしていないし、遺族会というのもされていないということであった。グリーフケアは入院中から必要なことであり、入院中から十分な関わりができていれば良いのではないかということであった。
最後に、実習生を受け入れる姿勢についても、見習わせていただくことが多かったと思います。スタッフの方々はとても優しく、聞くと何でも教えて下さり、ケアをするときも常に一緒にさせてもらい、ことあるごとに声をかけてくれました。今までの自分の実習生への対応は忙しいのもあってか十分ではなかったと、反省しました。忙しい中、実習をさせていただき、丸口婦長さんを始め、日々担当して下さったナースの方々、スタッフの方々本当にありがとうございました。この実習を通して、今までの自分のケアの振り返りができ、また外側から自分の施設の良いところ、良くないところも見え、本当に良い経験ができたと思います。自分なりに目標も達成できたと思います。
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