自分なりに目標達成へ
淀川キリスト教病院
内田香織
今回実習させていただくにあたって、私は次の3つの目標を立てた。
?他施設でのホスピスケアの問題に、ナースがどのように取り組んでいるかを学ぶ。
?ナースのアセスメント能力の向上について実習施設ではどのように取り組んでいるのかを学ぶ。
?施設実習での体験と、これまでの学習を統合し、ホスピスケアの概念を再構築し、自己の立場におけるホスピスケアのあり方を学ぶ。ということであった。
目標を持って、自分なりに実習先であれを見よう、これを聞こうといろいろと考えていたが、実際その場にいくと環境の違いに戸惑い、緊張して最初の1週間は目に付くものすべてに興味がいき、視点が定まらなかった。そのため聞きたかったことを質問する余裕が自分にはなかった。2週目に入ってから思い直し、落ち着いて学ぶことができたと思う。私は国立がんセンター東病院では、これをみて帰りたい、ここを参考にしたい、というものがいくつかあり、そのことについても報告する。
まず、看護業務において、当病棟での業務改善に参考にさせていただくことは多かった。その中でも申し送りの早さにはとても驚いた。それは、病棟の構造上とても動線が長いことがあり、Aチーム・Bチームと患者さんを分けていることもあると思うが、チーム別に申し送るためとても早く、深夜勤から日勤の申し送りは夜間のことだけで15分もかからなかった。そのため、早く患者さんのケアにまわることができると思った。しかし、その日のケアについて話し合う時間は必要であり、それは昼のカンファレンスの時間にチーム別に医師とナースで行っていた。また、夜勤の業務分担も参考になった。準夜勤では、A・Bチームの各受け持ちナースとフリーの計3人で、フリーが点滴、処置、他の雑用をしつつ、受け持ちのヘルプ、ナースコール受けをされていた。深夜勤のナースは、準夜勤のフリーがその他もろもろの雑用をしてくれているので、それぞれのチームの受け持ち業務のみを行っていた。当病棟のような早出業務はなくても、看護助手の方が1人早めに来られていることで、支障はないようだった。点滴、注射が少ないことも影響しているのかも知れない。準夜勤、深夜勤の実習もさせていただきとても参考になった。
次に日常のケアにナースはどのように関わっているのか、問題にどう取り組んでいるかということであるが、まず始めに受けた印象は、ナースは症状コントロールについて主体的でしっかりしているということであった。それは、がんセンターのPCUは、いかに早く症状コントロールをし、いかに在宅で過ごせるかということに力を入れておられるので、早期に症状コントロールをつけるために、ナースも積極的に取り組む必要があり、また医師の数が(研修医は別にして)少なく、当直制ではないこと(当直帯では内科当直が診る)からナースが主体的にならざるをえない状況にもあり、ナースの能力は高くなるのではないかと思った。特に排便コントロールについてはナースが主体で研究活動も続けられており、まさにナースの力という感じであった。その他、日々のケアでもチームで話し合い、意見を出し合ってより良いケアが提供できるよう努めておられた。チームワークもとれ、困ったとき、わからないとき相談しやすい、聞きやすい雰囲気であると思った。その一方、精神的ケア、特にスピリチュアルケアについては一歩踏み込まれていないような印象を受けた。ただ、ここでは短期入院の方が多いため、そういった問題にどこまで関われるかということの限界があるように思った。
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