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研修での学びを今後に生かして

京都府立洛東病院
三好美鈴

実習の目標
?実習施設で行われているホスピスケアについて理解する。
 ・実習施設の理念、目的を理解し、ホスピスがどのような役割を果たしているのかを理解する。
 ・実習施設におけるホスピスケアの実際と、チームアプローチにおける看護婦の役割を理解する。
?ホスピスケアの問題点や自己の課題を解決するための対応や考え方を学ぶ。
 ・実習施設で生じているケア上の問題を知り、それに関わる諸因子を考える。
 ・ケアの問題に看護婦がどのように取り組んでいるかを把握し、問題解決の方法を学ぶ。
 ・人間の終末期において、自分自身がどのような立場でいるべきか、自己を見失うことなくケアに関わるにはどうすれば良いのか、内面的問題に直面した時どう対処すれば良いのか等を学ぶ。
?施設実習の体験と、これまでの学習を統合し、ホスピスケアの概念を再構築し、自己の立場におけるホスピスケアのあり方を明らかにできる。
 ・自己の施設でホスピスケアに自信を持ってあたることができるようになる。

 

実習施設で学んだこと

1)ホスピスケアについて
(1)理念、目的について
  “全人医療=体と心と魂の3つを癒す”という理念のもとに、その人らしい“生”を全うできるように援助することを目的とする施設であると位置付けされている。ホスピスはまさに理念にある3つの癒しが洗練されて行われているところと理解した。本来、人間の基本的人権は保障されているはずである。しかし、一般的に病院においては侵害されているように思う。医療という“正義”の名の下に医療従事者は公然と患者を“物体”として取り扱ってしまっているように思う。その中で、休だけでなく、心、そして魂をも癒す医療という理念は医療従事者が忘れてはいけない基本だと思う。また、その人らしい“生”を全うできるように援助するということは、個人の権利、自由、価値観を尊重するということでもあると理解した。

(2)ホスピスケアの実際とチームアプローチ
 基本的な姿勢は上記にもあるように、“患者さんを全人としてとらえ個人を尊重する”であると理解した。実際、ホスピスに関わる全ての人達がその姿勢を持ってそれぞれの立場から患者さんに関わり、アプローチをされていたと思う。例えば、忙しい中なのに、看護婦さんが患者さんにあわせてケアの時間を調節したり、ゆっくりと話を聞いておられた姿。入浴介助の時、ボランティアの方が患者さんを一人の人間として大切に扱われる姿。主治医だけでなく、ホスピス医全員で一人の患者さんについて検討される姿。医師と看護婦さんが一緒に申し送り、カンファレンス、検討会等に参加されて話し合われている姿。これら全て、チームアプローチの実際だと学んだ。
 誰が発言しても、しっかりと耳を傾けられている姿勢も大きな学びになった。“傾聴する”のは患者さんや家族の言葉だけでなく、スタッフの意見に対しても行われていることがすばらしいと思った。チームアプローチのポイントは、役割の尊重だけでなく“個人を尊重する”ことだと学んだ。

 

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