これは私に気を使ってくれたのだと思うが、「最後はここに来たいわ…」と言っていた。こうして、1週目は当施設のスタッフの心のこもったケアが全ての患者に伝わっていることを学んだ。
2週目は訴えられるような関わりをするためには「あなたの訴え(ニード)を知りたいというメッセージを看護婦側から患者に伝えたり、訴えることができる「ゆとり」のある関わりをする時間を意図的に作る必要があるということ。患者は医療関係者に非常に気を使っている。したがって看護婦側から患者に訴えたいことがあるか、訴えたいことは何か、問いかけないと話しにくいということ」を体で感じた実習であった。私たちはスタッフではないので、時間的に余裕があることを伝えるだけで、「今日は気分がいいので外の空気を吸いたいのです…」と言われたり、「今日は特殊入浴をお願いできますか…」とか、「ずっと、ここにいて下さい」と言われ、2時間もそばにいてマッサージをしたこともあった。自分の中にゆとりがあると2〜3時間患者のそばにいても苦痛には感じないということ、患者がいてほしいと望むならいてあげたい…時間にとらわれず個々の患者の必要に十分に応えられる看護を提供できるホスピスが、癌センターにも併設されることを願わずにはいられない気持ちになった。
2週間という短い実習ではあったが、最後の挨拶に病室を回った時も「何で行っちゃうのー」と涙を流されると、「ああ…ここにいたい」と正直思った。 こうした実習計画表を作成していただいたこととか、初日は、職員礼拝に出席させていただき、皆の前で田頭総婦長さんから紹介していただいた。職種は違っても皆さんに本当に親切にしていただいた。食堂で働く人には朝食に豆乳がついているのだが、何も言わないのに声をかけてくれて、豆乳が飲めないと牛乳に変えてくれたり、「これは三育で作った新製品です」と2種類のパンを試食として下さったりした。またハウス・キーピングの課長さんは、「宿泊していて何か困ったことはありませんか?」「足りないものはありませんか?」と声をかけて下さった。日々患者さんにこうした接し方をされているから自然にこうした声かけができるのだと思う。自分自身、日常忙しさをふりまき、廊下をふん反りかえって歩いてはいないだろうか、外部の人にこうした自然な声かけができていただろうか、と考えさせらられた。
そして、11/19にホスピス病棟の婦長さん、古賀さん、中川牧師さん、MSWの阪本さんに食事につれて行ってもらい、帰りに六甲の素晴らしい景色を見せてもらい本当に心が洗われる思いがした。最後の日は山形Drには新神戸まで送っていただいた。アドベンチスト病院で学んだことは、心のこもったケアであった。
私は県民を対象に来年の3月に公開講座として開催される“I CAN COPE”、がんを知って歩む会のメンバーとしてホスピスを紹介するという任を担って実習に来ました。頭の中で考えていたことだけでなく、自分の目で見たこと、自分の体で感じたこと数々ありました。決して忘れることなく施設にもどり伝え、また、還元していきたいと思います。アドベンチスト病院の方々、本当にありがとうこざいました。
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