受講者名
回答内容
大口 浩美
私が緩和ケアに興味を抱いたきっかけは、あるホスピスに関する講義を聴いてからだった。10年以上も前のその当時は、今以上にまだ全国的にホスピスも少なく、その講義は私にとってかなり新鮮に思えた。一般の病棟で緩和ケアの実践を行うことは難しく、何の勉強もしていない私は、専門的な知識や技術がないと緩和ケアの実践はできないと思っていた。
現在、私は念願の緩和ケアで看護をするようになって一年が経つが、日々の業務の中でもそれは感じている。科学的な知識や技術に裏付けされたものがないと、思いだけでは緩和ケアはできないと。だからといって緩和ケアにおいて、看護婦が知識や技術だけを持っていればよいというものだけでも、医師が主導権を持って動かしていくものでもないと思う。コ・メディカルを含めた緩和ケアに関わるすべての職種でチームアプローチをすることが重要になってくる。そのチームの一員としての看護婦は、医療的なことから日常のケアまで幅広く患者と接していく存在であり、その中心的役割を持ちながらケアの実際に関わっていくことが大切になつてくるのではないだろうか。
岡本 恭子
〈緩和ケアについて〉
患者さんのあらゆる苦痛を取り除き、その人らしさを取り戻すよう援助する。
あらゆる症状のコントロール
・疼痛、吐気、、嘔吐、便秘、食欲不振 等
・精神的安定をはかる
以上の関わりを患者さん、家族に対し、チームアプローチする。決して、個人の看護婦ひとりの力では無理であり、医師、栄養士、薬剤師、チャプレン、ケースワーカー等とともにその場に応じたケアを提供していく。場合によれば、動物も癒しの対象となる。患者さん、家族を取り巻く環境全ての調整も必要となる。
〈看護婦の役割〉
患者さん、家族の常に一番近い存在として関わっていく。常に患者さんの声に耳を傾ける。今何を思い、何を必要としているのかなど、時には危機理論等用い、分析し、対応していかなければならない。
・チームアプローチのコーディネーター役として、他部門と関係を調整していく。
・患者さんの状態を把握し、苦痛緩和のため他部門に働きかけ、情報提供を行う。
・痛み、その他の症状、問題が発現して対応していくのではなく、予測し、苦痛等、出現しないよう対応してしく。
西村真智子
現在、緩和ケア病棟開設に向けて準備中の施設に勤務しているが、数人のホスピス希望の患者を受け入れており、その数少ない経験の中で、日頃考えていることを述べたいと思う。
積極的な治療に対して、期待できない患者にとって、身体的、精神的、社会的、霊的な苦痛から少しでも解放されることは、患者の残り少ない人生を考える上でとても重要であり、患者の願いである。患者の個性や、今までどのように生きてきたかにより、様々な反応として表出されたり、されなかったり、患者、家族により異なる。
緩和ケアとは、身体的苦痛をできるだけ除去するよう症状コントロールがなされることを基本に、その患者が自分の意思でその人らしい生き方を最後まで貫くことができるよう個性をふまえた上での全人的なケアである。
看護婦の役割として、患者に最も身近に接している存在であり、患者および家族が今、何を求め、何を感じ、考えているか、気持ちに沿ったケアをすすめていくことが大切であると思う。
また、患者の抱える様々な問題をどのように解決したらよいか、どの方法が患者にとってよりよいものなのか、緩和チームの一員として、他スタッフに的確な情報提供をし、アプローチしていくことも役割であると思う。
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