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5. 新規需要への取り組み

 

新造船需要は大型船代替需要が一巡する2005年以降、減衰期に入る。

造船事業が、将来にわたり、事業拡大を持続していくには、業界の持っている資源(人材・技術・設備等)を活用して、新たな事業の柱となるような新規需要を開拓せねばならない。

新規需要開拓は、複数の事業者による連合組織や業界団体での取り組みが必要となろう。

当面、造船業とその周辺で既存の技術・設備の蓄積を活用しうる分野としては、?@海洋開発、?A海上高速物流システムが挙げられよう。

【大手・中手】

本調査でも見たとおり、静穏な海域である瀬戸内海に面している四国地区において海洋開発のニーズは高く、メガフロートに取り組む意義があり、四国地区の造船所には対応できる技術・設備もある。既に運輸省並びに造船工業界でメガフロートの実証研究を進めているが、浮体式空港等による海洋空間の活用と、海洋資源開発が始まれば、海洋開発プロジェクトとして国家的規模で推進されよう。

これらの製造が四国地域で行われる場合、第7章で指摘した通り、その受け皿としての組織が必要である。「技術懇談会」あるいはその下部組織としての「部会」「研究会」といった組織もその一つになりうる。

大手・中手造船所としては、当然、リード役となっていくことが期待される。

●上部構造物への取り組み

部会での協議では、どのようなものが上載されるかイメージがつかめず、艤装工程がどの程度の仕事量になるか不透明である。このため、メガフロートの建造に取り組んだ場合、建造工程の混乱を懸念もする意見も出された。これらについて、できるだけ四国地区の造船所で製作を取り込めるよう、陸上部門の技術力を磨いておくことが必要である。

●メガフロートのPR

メガフロートについては、今回実施したアンケートによれば、一般企業・諸団体・地方自治体において、その特性を理解する意見が多かったものの、アンケートに添えたイメージスケッチや応用例等の資料により、理解が助けられた面がある。

海上に巨大な施設を浮かべることで、地域住民の漠然とした不安もあろう。これを払拭していくための積極的なPR活動が必要である。

●漁業者とのタイアップ

最もネックになるのが、漁業者との調整である。ここで逆転の発想で、漁業者とタイアップして、例えば漁礁の替りになるような増殖機能が確認されれば、理解も得られやすい。

現に、人工島である関西国際空港周辺では新たに魚が集まっているようである。

 

 

 

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