そのため、協同で問題解決を図っていくことも必要になっていく。技術開発等を検討する「懇談会」「研究会」等の活用が望まれよう。
これら組織は単なる形式的な場ではなく、実質的に機能する場でなくてはならない。そのためには、あるテーマに基いて、参加事業者を募り、共同研究を進める等の方式も今後考えていく必要がある。それらに優先的に、技術開発補助金等を交付していくことが必要である。
これが、結果として四国の造船・舶用事業者の技術力を高めていくこととなろう。さらに、一定の「ゆるやかな」グループ化が形成されよう。
(3)舶用工業等との共同開発
【共通】
厳しい環境の中で、わが国の造船業が国際的に競争力を維持強化し、地域の重要な産業としての地位を確保していくためには、造船業のみならず、舶用工業など関連産業との連携を含め、経営全体で高い生産性を達成する必要がある。
そのため、舶用工業事業者等との共同開発が有効である。
例えば、舶用事業者からは、補修・保守作業を船舶機械室内で行うのではなく、船外に取り出して整備できるよう、設計時からの配慮を求めている。
人手不足は共通の課題であり、メンテナンスのやりやすい船は、結果的にメンテナンスコストも安くつき、船主にとっても有利なはずである。船主の理解が必要ではあるが、造船所と舶用事業者がそうした点について協議する場を設け、工夫を重ねていくことが必要である。
【舶用】
今後の舶用工業の方向としては、標準化の促進、情報化の取り組み、海外調達の活用等が挙げられるが、造船業と舶用工業は密接な連係の下に競合に対応していく必要がある。造船業としても、舶用機器メーカーと効率化、コストダウン、安定供給について共に歩んでいく必要があろう。
(4)安全・環境面に配慮した船舶づくり
【大手・中手】
わが国沿岸で船舶事故が相次ぎ、船舶の安全性に関心が集まっている。
世界の造船・海運大国として、安全・環境に配慮した船舶規格づくりのリードが必要である。
これらについては、中央ベース、造船工業会等業界団体ベースで研究・開発が進められることとなろう。
地球温暖化に関連して、再びエネルギー消費効率の高い船のニーズが高まることが予想される。四国の造船業としては、船型改良等により、エネルギー効率の高い船舶を開発していくことが必要である。