る造船所からタイトな造船所に工員を一時的に派遣させる等の対応が考えられよう。
不足している職種の技能工を別会社ないし協同組合組織に移行し、各社からの受注を請け負う等の思い切った対応策も考える必要があろう。
その際のカギは、各造船所間の信頼関係であると思われる。経営者にとっては、従業員の引き抜き等が懸念されよう。このため、資材調達等で横の関係を築いていき、次第にこうした分野に広げていくことが有効となろう。
(3)新たな労働力の活用(高齢者、女性、外国人)
今後、新卒者を中心とした新規労働力の参入が期待できにくいとすれば、それに代わる新たな労働力の確保に努める必要があろう。
a)高齢者の活用
第一に、高齢者の活用である。熟練工のこれまでの経験と技能を活用していくため、継続雇用の方策などを探る必要があろう。
●短時間労働の仕組みづくり
各社、継続雇用、繁忙時スポット的な就労、軽作業への配置転換等により、人手の確保に努めている。技能工の気質から、定年である60歳になってすぐにリタイア(離職)し、少々の年金を受け取るよりも、体の動くうちは造船所に通いたいとする人が多いようである。
年金との調整を考えながら、短時間労働の仕組みを各社工夫していくことが必要である。
●作業環境の改善
加齢とともに身体機能の低下は否めない。このため、工具の軽量化、機械化、運搬具の活用、段差の解消、識別マークの工夫等のちょっとした配慮・工夫を重ねていくことが、高年齢者の働きやすい環境づくりにつながる。
●年金との併給調整
当面は、賃金と年金とを併せて受給しても手取りでが不利にならないような制度改定を、他の業界とも連携して働きかけていくべきである。
●助成制度の活用
幸いにして、国としても定年の60歳から65歳程度への延長等、高年齢者の雇用を推進・支援しており、さまざまな助成制度がある。これらを活用し、環境整備に努めていく必要がある。
b)女性の活用
第二に、女性の活用である。各職業において女性の進出が目覚しいが、造船業は他産業と比較しても、女性の活用度が低い(全体の4.6%)。
女性の活用が進んでいない原因として、造船所側の要因としては、造船所は男の職場という思い込みと、今後においても壮年男子工員の確保は何とかなるという意識があるものと思われ