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3. 労働力の確保

 

労働力の確保は企業存続の重要なテーマである。

今後も四国の造船業が高い価格競争力と技術力を保持していくためには、社外工も含めて現状程度の労働力の確保は不可欠である。差し迫った問題として、技術者・熟練工の確保が必要である。

 

(1)技能工養成機関の設置

造船業は労働集約的な性格が強く、技術者や熟練工の技能がそのまま船舶の質を決定するといっても過言ではない。今まで、四国地域の造船業が高い競争力を維持できたのも優秀な技術者や熟練工の存在によるところが大きい。しかし、度重なる不況・合理化の中で新規採用を絞り込み、また新規採用が困難なため現状のマンパワーでいきたいと考える中小造船所が多かったため、工員の高齢化が著しく進んでいる。年齢別人員構成は極端に中高年に片寄り、いびつなものとなっている。この結果、今後大量の定年到達者が発生する見通しである。しかも、技能工の養成には少なくとも3年は要すると言われており、早急な対策が必要である。

舶用工業についても同様である。

各社では、協力企業も含めて、従業員の採用を抑えているため、採用即現場配属となっている。そのため、OJT(仕事を通じての知識技能修得)によっているが、体系的な知識・技能を学ぶ機会がない。

各社ともにその必要性は感じている。しかしながら、造船業の場合、事業者の共同出資等による学校・養成機関等の設立は現実的でない。大手造船所はその力を有していると考えられるが、他の造船所は系列化につながる事を危惧し、利用しにくいのではなかろうか。

さらに、造船業は大小の規模格差が大きいため、そうして養成した人材を「大手に取られてしまい、中型・小型造船所には回って来ない」という声も聞かれる。

そのため、ベストの選択は、既存の機関に造船関係の電気溶接・ぎょう鉄・配管等の技能を学ぶコースを設定することである。

造船業・関連工業は地域経済に貢献してきており、その点からも関係機関に強くアピールすべきである。造船所・関連工業各社は、従業員の確保は企業規模の差を超えた共通の問題点との認識を高め、一刻も早い実現を目指すべきである。

例えば、ポリテクカレッジ(職業能力開発短期大学校)が香川県丸亀市と高知県野市町にある。この中に造船関連の課程・科目を設けることを業界として、四国運輸局とも連携し、関係機関に働きかけていることが必要である。指導に当たるベテランは四国地域に多数居ると思われ、働き掛ける価値はある。

 

(2)労働力の融通の仕組みづくり

【小型】

各社とも社外工の活用を図っているが、今後、本工においても、労働力の余裕のあ

 

 

 

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