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(2)作業環境の改善

船価の改善が期待できない以上、労務コストはこれからにおいても、重荷になっていくものと予想される。このため、作業環境を改善し作業能率を向上していくことが欠かせない。人手不足対策ともなる。

四国地区においては、平成4年度に「作業環境の改善に関する調査研究」が行われ、環境美化、コンピュータ化・ロボット化等、いくつかの提言が行われている。これらについては、現在においても共通するものが多い。各社においても、既に、いくつかの試みが行われており、これを一層進めていくことが必要であろう。

○露天作業の縮少…上屋の設置、テント等の活用

○暑気対策……スポットクーラーの設置、上屋の設置

○工具の軽量化

○高所作業車

○NC切断機 等

なお、機器の導入においては、アンケートでも多くみられたように、ハードウェアと運用のためのソフトウェア(特に作業員・マシンオペレータの教育訓練)をセットで考える必要があろう。

 

(3)情報化への取り組み

情報化を個別企業内部での業務効率化に役立てるのはもちろんのこと、抜本的な効率化のためには、各社のシステムを接続して、設計・発注・照会等のデータ交換へと活用・応用していくことが必要である。各社独自のシステムにより、重複業務が発生し、結果として能率向上を阻んでいる。そうした企業間での情報システム対応が、グループ企業間で、あるいは業界レベルで必要となる。

【大手・中手】

中手以上の企業においては、トータルの国際競争力確保の観点から、統合情報システムの研究開発に取り組むことが求められる。

平成元年(1989年)に造船大手7社とシップ・アンド・オーシャン財団により造船CIMSの研究が開始されてからほぼ10年が経ち、大手造船所ではそれぞれ造船CIMSが実用段階を迎えている。CIMSをはじめとする情報化の促進はコスト削減や加工精度の向上のみならず、今後大量に定年を迎えるであろう技術者・熟練工の代替という観点からも重要である。

将来的なシステムとして早期の開発が望まれるのがCALSである。CALSは設計、生産、発注、流通、保守に渡るすべての業務過程を電子データ化し、標準化されたネットワーク網を通じて調達側と供給側が情報を共有化するシステムのことである。顧客や資機材発注先との情報をネットワーク上で共有することとなるため、設計をはじ

 

 

 

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