2. 生産体制の効率化
(1)建造設備の更新
a)設備の更新
生産性向上は造船・舶用工業において永遠の課題であり、積極的に設備の近代化・合理化を進めていく必要がある。
【大手・中手】
労働力不足と技術革新に対応して、また作業環境の改善を図ることから、自動化・省力化を図っていく必要がある。取り組みを勧めて来たが、今後においてもさらにCAD/CAMの拡充、ロボット導入により、工程の自動化・機械化を押し進めることが重要である。
【中型】
投資余力のある造船所においては、近海船等対象船舶の大型化を図る意味合いもあって、近年、規模拡大に取り組んできた。
しかし、中型造船所の多くは、ヤードの狭さに悩んでいる。必要に応じて設備を導入したり敷地を拡張したりしてきたため、工場レイアウトが悪くなっている事業所もある。抜本的に立地を移転することはまず無理であり、不便を承知で使い続けているケースも見受けられる。本来は、造船・舶用工業向けの産業団地を整備し、そこへまとまって移転するのが望ましい。しかしながら、複数の造船所が莫大な資金を確保し、足並みを揃えて立地計画を立案し、臨海部に大きな用地を構える必要があり、そうした状況は当面考えにくい。
そのため、各社で建造設備の更新に努めていくことが必要となろう。
さらに進んで、ブロック加工場等を共同で設立ないし、小型造船所をグループ化し、活用を図る等の対策も必要である。
【小型】
小型造船所においては設備投資も抑制気味で、設備老朽化が忍び寄りつつある。内航船主体で建造能力が概ね1,000総トン未満の造船所においては、投資余力が乏しく、必要に迫られた投資に止まっている。
このため、体力に見合った設備投資を、各社独自に進めていくことが当面必要である。
b)設備の共同活用
【小型】
NC工作機等利用価値はあるものの、小型造船所が単独では稼働率が確保できにくかったり、高価なため1社では保有することが困難な場合、他社の加工を引き受けるなど、数社で活用する仕組みを作ったり、協同組合を設立する等により、活用の方策を探っていくことが生き残りのためには必要である。