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下げの実現、船台・ドックの使い分け、繁閑に応じた従業員のやりくり等も可能である。従って、条件によってはこうしたグループ化も選択肢の一つとなろう。

 

(3)小型造船所

四国地区の小型造船所は、地元船主とのつながりや巧みな営業、コスト競争力により、全国の50%のシェアを占めるに至った。この経営力は今後も残り続ける。そのため、今後10年を展望して、今回のビジョンにおいては国内における建造量シェアがむしろ高まることを期待している。今後においても、わが国の小型船舶の生産地としての地位を保ち続けるであろう。

大半は依然として造船専業であるが、多角化を図るべき人的・物的資源に恵まれず、専業で生き残るしかないと思われる。

しかしながら、今後、主として身を置いている市場たる内航船の需要が回復しにくい。したとしても内航船としてはやや大型の需要が多くなるとみられることから、従来得意としてきた船型は需要が出難く、受注合戦が激しくなるなど、先行きはきわめて厳しいものがある。

以下の点を指摘する。

?@存廃を含めた経営指針の明確化

厳しい環境であり、今までの延長線で今後の厳しい生存競争に生き残っていけるか、懸念がある。全国的に需給能力のギャップが2〜3割あるとされ、運輸省では今後その解消を図ることとしている。このため、各社においては、その経営資源を見直し、事業存続、廃止、あるいは分野のシフトを含めた検討が必要である。

中小造船所が進む道としては、次の5つが考えられる。

?@自立路線の継続

?Aブロック専業工場化等グループ化・提携

?B他社との部門共同化を図る(資材共同調達、加工センター設置)

?C事業転換(業種転換)

(?D廃業)

上の項目ほど、可能性が高いと考えられる。

?A横のグループ化

各社で、自助努力により厳しい状況に対処していくのはもちろんのことであるが、今までの小型造船所個別での対応では、限界があるものと考えられる。このため、従来の個別企業の枠組みを超えた対応が必要となってくるものと思われる。

望ましい姿としては、今までのタテの系列化のみならず、造船所間の「横」の「ゆるやかな」ネットワークを形成していくことが考えられよう。資材調達、仕事のあっせん、特定部門の専門請負会社・組合設立など、各社ができる分野から取り組んでいくことが望まれよう。

 

 

 

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